参考1:各ステップの意味 EditToHeaderToFooter

凌宮数学では、以下の手法によりベクトル三重積の公式を式の性質から組み立てる。

$$ \iro[ao]{\:A} $$$$ \vx $$$$ (\iro[md]{\:B} \vx \iro[md]{\:C}) $$

$$ (\iro[md]{\:A} \vx \iro[md]{\:B}) $$$$ \vx $$$$ \iro[ao]{\:C} $$

$$ = $$$$ \textcircled{\phantom{X}} $$$$ \fbox{\phantom{X}} $$$$ \iro[md]{\:B} $$$$ \textcircled{\phantom{X}} $$$$ \fbox{\phantom{X}} $$$$ \iro[md]{\:C} $$

$$ = $$$$ \textcircled{\phantom{X}} $$$$ \fbox{\phantom{X}} $$$$ \iro[md]{\:A} $$$$ \textcircled{\phantom{X}} $$$$ \fbox{\phantom{X}} $$$$ \iro[md]{\:B} $$

(1) 平面決定・成分分解

$$ = $$$$ \textcircled{\phantom{X}} $$$$ (\:A \sx \:C) $$$$ \iro[md]{\:B} $$$$ \textcircled{\phantom{X}} $$$$ (\:A \sx \:B) $$$$ \iro[md]{\:C} $$

$$ = $$$$ \textcircled{\phantom{X}} $$$$ (\:B \sx \:C) $$$$ \iro[md]{\:A} $$$$ \textcircled{\phantom{X}} $$$$ (\:A \sx \:C) $$$$ \iro[md]{\:B} $$

(2) 次元決定・演算決定

    $$ \iro[ao]{\:i} $$$$ \vx $$$$ (\iro[md]{\:i} \vx \iro[md]{\:j}) $$$$ = $$$$ \:i $$$$ \vx $$$$ \:k $$$$ = $$$$ -\iro[md]{\:j} $$$$ - $$$$ \iro[md]{\:C} $$

    $$ (\iro[md]{\:i} \vx \iro[md]{\:j}) $$$$ \vx $$$$ \iro[ao]{\:i} $$$$ = $$$$ \:k $$$$ \vx $$$$ \:i $$$$ = $$$$ +\iro[md]{\:j} $$$$ + $$$$ \iro[md]{\:B} $$

  簡単な特例で符号調べ

$$ = $$$$ + $$$$ (\:A \sx \:C) $$$$ \iro[md]{\:B} $$$$ - $$$$ (\:A \sx \:B) $$$$ \iro[md]{\:C} $$

$$ = $$$$ - $$$$ (\:B \sx \:C) $$$$ \iro[md]{\:A} $$$$ + $$$$ (\:A \sx \:C) $$$$ \iro[md]{\:B} $$

(3) 符号決定

ステップ(1)では、2つの外積から来る2つの直交条件により、解を平面上に狭めているに等しい。
ステップ(2)では、次元解析により、解の関数形を狭めているに等しい。厳密には成分を決めていない。
ステップ(3)では、簡単な例により、符号および解の倍率を決めている。

ステップ(2)では解の形を決めても、式全体に定数倍が付くことが有りうる。
このため、ステップ(3)ではその未定の定数倍を「+1」や「-1」に決めているとも解釈できる。

また、定数倍が符号だけで済むのは、内積と外積が都合良く定義されているためである。
もし、内積の大きさが$$ |\:A | $$$$ |\:B| $$$$ \cos \theta $$ではなく、$$ \ffd12 $$$$ |\:A | $$$$ |\:B| $$$$ \cos \theta $$のように定義されたら、
若しくは、外積の大きさが$$ |\:A | $$$$ |\:B| $$$$ \sin \theta $$ではなく、$$ \ffd12 $$$$ |\:A | $$$$ |\:B| $$$$ \sin \theta $$のように定義されたら*1
ベクトル三重積公式には相応な係数が付く羽目になる。

*1 平方四辺形の代わりに三角形の面積、ケプラーの面積速度。
cf: 物理のかぎしっぽ / 物理学 / 角運動量 http://hooktail.sub.jp/mechanics/angularMomentum/

参考2: 少し古い符号判定(〜2014年) EditToHeaderToFooter

ベクトル三重積公式の左辺には2つの書き方があり、掛け方によって符号が逆転する。

$$ \iro[ao]{\:A} \vx (\iro[md]{\:B} \vx \iro[md]{\:C}) $$

$$ \;\Rightarrow\; $$$$ \textcircled{\phantom{X}} $$$$ \fbox{\phantom{X}} $$$$ \iro[md]{\:B} $$$$ \textcircled{\phantom{X}} $$$$ \fbox{\phantom{X}} $$$$ \iro[md]{\:C} $$

$$ \;\Rightarrow\; $$$$ + $$$$ (\:A \sx \:C) $$$$ \iro[md]{\:B} $$$$ - $$$$ (\:A \sx \:B) $$$$ \iro[md]{\:C} $$

$$ (\iro[md]{\:A} \vx \iro[md]{\:B}) \vx \iro[ao]{\:C} $$

$$ \;\Rightarrow\; $$$$ \textcircled{\phantom{X}} $$$$ \fbox{\phantom{X}} $$$$ \iro[md]{\:A} $$$$ \textcircled{\phantom{X}} $$$$ \fbox{\phantom{X}} $$$$ \iro[md]{\:B} $$

$$ \;\Rightarrow\; $$$$ - $$$$ (\:C \sx \:B) $$$$ \iro[md]{\:A} $$$$ + $$$$ (\:C \sx \:A) $$$$ \iro[md]{\:B} $$

この符号は外積の回転方向を2回も考える必要がある。
3次元空間でぐるぐる回るのは結構面倒なので、便宜的な手法ではあるが2次元で済ませたい。
さらに、三重積は任意のベクトルで成立するため、次の2つの条件を満たす単純な例で済ませたい。

  • 先に掛け合わせるベクトルが互いに垂直*2
  • 後に掛け加えるベクトルが前の片方と同じ向き*3*4

論はないが証拠、これで(片方の)符号が分る:

left,aroundleft,around

$$ \iro[ao]{\:A} \vx (\iro[md]{\:B} \vx \iro[md]{\:C}) $$について、まず$$ \iro[md]{\:B} $$$$ \iro[md]{\:C} $$右から掛けて、$$ \iro[ao]{\:A} $$左から掛ける。
ポイントは掛ける向きが逆であるため、向きが打ち消して元の$$ \iro[md]{\:B} $$の向きになる。
したがって、$$ \iro[md]{\:B} $$の符号は「$$ + $$」になり、残る$$ \iro[md]{\:C} $$には逆の「$$ - $$」が付く。

$$ \iro[ao]{\:A} \vx (\iro[md]{\:B} \vx \iro[md]{\:C}) $$

$$ \;\Rightarrow\; $$$$ + $$$$ (\:A \sx \:C) $$$$ \iro[md]{\:B} $$$$ - $$$$ (\:A \sx \:B) $$$$ \iro[md]{\:C} $$

$$ (\iro[md]{\:A} \vx \iro[md]{\:B}) \vx \iro[ao]{\:C} $$について、まず$$ \iro[md]{\:A} $$$$ \iro[md]{\:B} $$右から掛けて、$$ \iro[ao]{\:C} $$をさらに右から掛ける。
ポイントは掛ける向きが同じであるため、そのまま回し続けて$$ \iro[md]{\:B} $$と逆の向きになる。
したがって、$$ \iro[md]{\:A} $$の符号は「$$ - $$」になり、残る$$ \iro[md]{\:B} $$には逆の「$$ + $$」が付く。

$$ (\iro[md]{\:A} \vx \iro[md]{\:B}) \vx \iro[ao]{\:C} $$

$$ \;\Rightarrow\; $$$$ - $$$$ (\:C \sx \:B) $$$$ \iro[md]{\:A} $$$$ + $$$$ (\:C \sx \:A) $$$$ \iro[md]{\:B} $$

*2 やっていることは$$ \:B \:C $$平面上のベクトルの成分分解であるため、斜交座標より直交座標系を使う方が直角が多くて簡単。
*3 $$ \:A $$は空間上に浮いても、$$ \:B \:C $$平面上の成分しか外積の結果に影響を与えないため、$$ \:B \:C $$平面上に乗せても結果は同じ。
*4 重ねることにより考える成分が1つ減るため、楽が出来る。片方の符号が決まれば他方も決まるため、1成分の符号だけ分れば十分。
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Last-modified: 2015.0315 (日) 1708.3800 (3323d)