凌宮表記術: $$ f $$$$ x $$の関数:$$ f:x $$ EditToHeaderToFooter

一般に、$$ f $$$$ x $$の関数であることを$$ f(x) $$と表記する。
ところが、変数$$ x $$を関数に代入した値も$$ f(x) $$と書くため、
関数表記と代入表記が表記だけでは区別できない。

これに対し、凌宮数学では$$ f $$$$ x $$の関数であることを$$ f:x $$と表記する。
関数$$ f:x $$に変数$$ x $$を代入した結果である$$ f(x) $$$$ f:x $$$$ . $$$$ x $$と表示する。

一般的に関数表記に使われる変数を従属変数と呼ぶが、凌宮数学では束縛変数と呼ぶ。
また、「$$ : $$」を束縛子、「$$ . $$」を代入子と呼ぶ。
これらの演算子で関数表記と代入表記を厳密に区別する。
束縛子と代入子を使った関数表記体系を束縛表記と言う。

以下、具体例により、関数の性質と束縛表記による書き分けを確認する。
問題を簡単にするため、関数を1変数関数に限定する。

関数の具体的な形 EditToHeaderToFooter

具体的な関数に対しても関数記号と同様に束縛子で束縛変数を明記する。
固有名のある関数は関数記号に束縛子がそのまま続ける。
例えば、正弦関数$$ \sin $$$$ \theta $$$$ \sin $$$$ : $$$$ \theta $$になる。
いわゆる、$$ \sin $$$$ \pi $$は、$$ \sin $$$$ : $$$$ \theta $$$$ . $$$$ \pi $$となる。
$$ f(x) $$$$ = $$$$ \sin $$$$ x $$は、$$ f:x $$$$ = $$$$ \sin $$$$ : $$$$ x $$として、関数同士の等価関係になる。

固有名の無い関数は、定義式に束縛子を続ける。
例えば、$$ f(x) $$$$ = $$$$ 2x $$の束縛表記は$$ f:x $$$$ = $$$$ 2x $$$$ : $$$$ x $$となる。

束縛表記の任意性 EditToHeaderToFooter

一般に、関数は入力と出力の関係であり、束縛変数の表記違いは関数の違いではない。
例えば、$$ 2x:x $$$$ 2y:y $$は同じ数値を代入すると同じ値になるため、同じ関数と見なされる。
すなわち、$$ 2x:x $$$$ = $$$$ 2y:y $$

一般に、任意の関数$$ f $$について、束縛変数を任意に文字に差し替えできる。

$$ f:x $$$$ = $$$$ f:y $$

自由変数と変数式 EditToHeaderToFooter

束縛されない変数を自由変数と呼び、束縛変数と区別する。
束縛変数を含まないし式を単に変数式と呼び、関数と区別する。
例えば、変数式$$ x^2 + x + 1 $$は関数$$ (x^2 + x + 1):x $$とは区別する

$$ x^2 + x + 1 $$$$ \neq $$$$ (x^2 + x + 1):x $$$$ = $$$$ (y^2 + y + 1):y $$

変数式の自由変数は、関数の束縛変数とは異なって差し替えが効かない。
変数$$ x $$$$ \neq $$$$ y $$であれば、一般的に$$ x^2 + x + 1 $$$$ y^2 + y + 1 $$は異なる。

$$ x^2 + x + 1 $$$$ \neq $$$$ y^2 + y + 1 $$

一般に、多項式は変数式であり、関数ではない。
多項式では、不定元の勝手な書き換えは許されない。

束縛変数の解放 EditToHeaderToFooter

関数の束縛変数に自由変数を代入すると、形式的に束縛変数を自由変数で置換した変数式が得られる。

$$ (x^2 + x + 1) $$$$ : $$$$ x $$$$ . $$$$ v $$

$$ = $$$$ v^2 + v + 1 $$

特に同名の自由変数を代入した場合、形式的に束縛を解いた変数式が得られる。

$$ (x^2 + x + 1) $$$$ : $$$$ x $$$$ . $$$$ x $$

$$ = $$$$ x^2 + x + 1 $$

ところが、同名と言っても、束縛表記の任意性のために実際は別名にも化けられる。
しかし、束縛変数を何に差し替えても、結果は解放で指定する自由変数によって唯一に決まる。

$$ (x^2 + x + 1) $$$$ : $$$$ x $$$$ . $$$$ x $$

$$ = $$$$ (y^2 + y + 1) $$$$ : $$$$ y $$$$ . $$$$ x $$

$$ = $$$$ x^2 + x + 1 $$

関数の束縛変数に自由変数を代入して関数から変数式を作る操作を解放と言う。

自由変数の束縛 EditToHeaderToFooter

束縛変数の解放とは逆に、自由変数を束縛して変数式から関数を作る操作を束縛と言う。
変数式と関数の違いは、形式的に束縛の有無と見なせる。
束縛表記はその特性を生かした表記である。

一般に、$$ y $$$$ = $$$$ f(x) $$$$ = $$$$ x^2 + x + 1 $$と書いた場合、
$$ x $$を関数の独立変数、$$ y $$を関数の従属変数と呼ぶが、
定義式である$$ x^2 + x + 1 $$は従属変数に相当する変数である。

束縛表記における$$ f:x $$$$ = $$$$ (x^2 + x + 1) $$$$ : $$$$ x $$は、
従属変数$$ x^2 + x + 1 $$を独立変数$$ x $$で束縛した式とも解釈できる。
また、従属変数と独立変数を使って、$$ y:x $$と表しても良いとする。
すなわち、

$$ y:x $$$$ = $$$$ f:x $$$$ = $$$$ (x^2 + x + 1) $$$$ : $$$$ x $$

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束縛表記では変数式と関数を厳密に区別するが、
束縛と解放により相互変換が可能になっている。

定数と定数関数 EditToHeaderToFooter

定数関数は代入した値に関係なく、定数を取る関数である。
例えば、$$ f(x) $$$$ = $$$$ 1 $$は定数関数であり、関数値が代入した値に関係なく常に$$ 1 $$である。
具体には、$$ f(0) $$$$ = 1 $$$$ f(1) $$$$ = 1 $$$$ f(2) $$$$ = 1 $$……。

束縛表記では、定数$$ 1 $$に対し、定数関数は$$ 1:x $$と表記する*1
ただし、この束縛は形式的なもので、実際に束縛される対象となる$$ x $$が変数式$$ 1 $$に含まれ無い。
このため、定数関数に限り、束縛の有無は区別しない。

$$ 1 $$$$ = $$$$ 1:x $$

*1 既に多項式関数を$$ (x^2 + x + 1) $$$$ : $$$$ x $$と表記している時点で、定数項しかない場合を考えると定数関数は自ずと$$ 1:x $$になる。

代入 EditToHeaderToFooter

定数の代入 EditToHeaderToFooter

関数$$ f(x) $$に定数を代入すると、束縛変数の無い定数になる。
例えば、

$$ (x^2 + x + 1):x $$$$ . $$$$ 3 $$$$ = $$$$ 3^2 + 3 + 1 $$$$ = $$$$ 13 $$

$$ (x^2 + x + 1):x $$$$ . $$$$ \pi $$$$ = $$$$ \pi^2 + \pi + 1 $$

これらは全て定数である。

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Last-modified: 2019.1117 (日) 0938.5800 (1620d)