数学には「比」という有用な概念があり、小学校から教えられる。 小学校では2項の比を扱い、割り算を以って比の値を定義する。 具体に、2つの数との比をと書き、その値をとする。
他方、比は射影空間の元と一般化され、がの場合や、3項以上の連比も扱う。 がの場合はゼロ除算になるため、比の値が存在しないか扱いになる。 連比の場合は、比の値がベクトルとして扱われるし、ゼロ除算も正しく扱えるが一般的ではない。
以下では、比と比の値に関して整理し、3項以上の比の値について考える。
直観的な定義は、2つの数とについて、共通の数を両方に掛けても保つ関係を言う。 具体に、と表記し、が成り立つ関係を表す。
厳密な定義は、体上の2次元射影空間として、 順序対と同値関係でと定義される。 具体に、
一番多用されるのは実数体上の射影空間。 有理数体と複素数体の上に成り立つ射影空間とも見かける。 対し、小学校で扱う「有理数」が負の数を含まないため、 有理数が体の要件を満たさず、その比も射影空間を為さない事実には細心の注意が必要である。