奇妙な式 EditToHeaderToFooter

一般に、正の整数範囲内では、平方根は掛け算に対して分配則が成り立つ。

$$ \sqrt{a \times b} $$$$ = $$$$ \sqrt a $$$$ \times $$$$ \sqrt b $$

具体的に、

$$ 6 $$$$ = $$$$ \sqrt{36} $$$$ = $$$$ \sqrt{4 \times 9} $$$$ = $$$$ \sqrt 4 $$$$ \times $$$$ \sqrt 9 $$$$ = $$$$ 2 $$$$ \times $$$$ 3 $$

$$ a > 0 $$かつ$$ b > 0 $$の成立条件を無視すると次の奇妙な式を導いてしまう。

$$ 6 $$$$ = $$$$ \sqrt{36} $$$$ = $$$$ \sqrt{(-4)\times(-9)} $$$$ =\!\!\!\!? $$$$ \sqrt{-4} $$$$ \times $$$$ \sqrt{-9} $$$$ = $$$$ 2\:i $$$$ \times $$$$ 3\:i $$$$ = $$$$ -6 $$

もちろん$$ 6 $$$$ \neq $$$$ -6 $$であるので、この式は間違っている。
実際、間違っているのは$$ =\!\!\!\!? $$の等号で左右の符号が変わるので破綻している。
これは単位量で考えると分かり易い:

$$ 1 $$$$ = $$$$ \sqrt{1} $$$$ = $$$$ \sqrt{(-1)\times(-1)} $$$$ =\!\!\!\!? $$$$ \sqrt{-1} $$$$ \times $$$$ \sqrt{-1} $$$$ = $$$$ \:i $$$$ \times $$$$ \:i $$$$ = $$$$ -1 $$

しかし、ここで「分配則が成立しない」でお終いにするのは勿体ない。
以下のように考えると、分配則の不成立は人為的な選択による結果と言える。
すなわち、掛算に対する平方根の分配法則は複素数範囲において成立する。

平方根の人為的選択 EditToHeaderToFooter

平方根の概念は、自乗の逆演算である。
具体的に、正の実数の範囲では、任意の正の実数$$ a $$に対し、$$ a $$の平方根$$ x $$$$ x^2 $$$$ = $$$$ a $$を満たす正の実数である。
一般に、$$ a $$の平方根を$$ \sqrt a $$で表記する。

問題は、$$ x $$を実数全体にまで範囲を広げた場合、$$ a $$$$ = $$$$ 0 $$の時を除き、
$$ x^2 $$$$ = $$$$ a $$を満たす$$ x $$が常に2つ存在する。
その片方を$$ x_1 $$、他方を$$ x_2 $$と置くと、$$ x_2 $$$$ = $$$$ - $$$$ x_1 $$の関係にある。

$$ x_1^2 $$$$ = $$$$ a $$  $$ \Longrightarrow $$  $$ (-x_1)^2 = (-1)^2 $$$$ \times $$$$ x_1^2 $$$$ = $$$$ 1 \times $$$$ a $$$$ = $$$$ a $$

そこで、歴史的理由により2つの人為的選択が行われてきた。
任意の正の実数$$ a $$に関して、$$ \sqrt{a} $$も正の実数である。すなわち$$ \sqrt{a} $$$$ > $$$$ 0 $$

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