偏微分と常微分の違い のバックアップの現在との差分(No.1) |
偏微分と常微分の違いを問われて、多くの人は「固定する変数の有無」か「良く分からない」と答える。定義式を眺めば、そうなるのは頷ける。偏微分と常微分の違いは、定義式から「固定する変数の有無」というのがお墨付きの答えである。
偏微分と常微分の違い準備として、2変数関数について、次のように定義される全微分について考える。
*1
偏微分を駆け足で学ぶ人には、恐らくこれが同一の関数に対してとが並存する最初の式で、混乱が始まりである。
*2 この関数は、EMANの物理学/解析力学/全微分で偏微分と常微分の違いを説明するのに用いられている。ページ自体は全微分の話で、偏微分と常微分の違いはその一番最後の節で述べられている。 *3 この時点で、は、とに関する2変数関数でありながら、に関する1変数関数にもなっている。変数の数が絶対的でなくなっている点に注意。 偏微分と偏微分の違い偏微分と常微分の違いは前節の通りである。しかし、これは一見良さそうだが、式の意味を読み取ろうとすると偏微分の矛盾が見えてくる*4。例えば、がに関する1変数関数に化けられるなら、冒頭で述べたように1変数関数を多変数関数の特例と見なせて、常微分と等価な青い偏微分が存在することになる。
色んな条件を少し変えて、中途半端なについて考えてみよう。「と書いていたが、実はにが含まれて無く、だけにが含まれていた」という話。すると、であることに変わらないため、次の全微分も変わらず成立する。
直感的な説明:偏微分の数え方以下では、偏微分の矛盾をという具体例を用いて、直観的に纏めてみる。まず、にとを少しずつ代入すると次の変形が得られる。
まとめ・つなぎ多くの場合、赤い偏微分と青い偏微分しか使われないため、とで区別できる。ただ、他の偏微分に気づいた人から混乱が始まる。この混乱を無くすには、色んな偏微分を厳密に書き分け、正しく整理する必要がある。そうすれば、自ずと偏微分と常微分を一貫した表記で書けるようになる。また、書き表せないものを書けるようになったとき、新しい発想ができるようになるかもしれない。実際、熱力学では赤と青の他、紫に相当する偏微分も登場する。そのため、よりも強力な偏微分表記が用いられている。それでも全ての偏微分を書き分けるには不十分であるが、次回は、その強力な表記を通じて偏微分の意味について確認しておく。 |