偏微分と常微分の違い のバックアップの現在との差分(No.12) |
偏微分と常微分の違いを問われて、多くの人は「固定する変数の有無」と答える。 これは定義式を眺めば頷ける。 偏微分と常微分の違いは、定義式から「固定する変数の有無」というのがお墨付きの答えである。
ここで言う「固定する変数」とは偏微分の方に現れる赤い「」である。 しかし、「その違いは関数の違いで、微分操作自体は青い部分のまま変わらない」というようにも見える。実際、1変数関数は2変数関数の特殊例と見なすことができ、その場合の偏微分と常微分は一致する。 しかし、その違いは「関数の違いで、微分操作自体は青い部分のまま変わらない」ようにも見える。実際、1変数関数は2変数関数の特殊例と見なすことができ、その場合の偏微分は常微分と一致する。偏微分と常微分の違い準備として、2変数関数について、次のように定義される全微分について考える。
ここで、、であれば、と、の関数に書き換えられる。このため、によるの常微分が存在し、次のようになる。
がととの影響を受ける限り、 どの項も消えずとなる。どの項も消えず、「偏微分と常微分は違う」という結論に至る。*1
偏微分を駆け足で学ぶ人には、恐らくこれが同一の関数に対してとが並存する最初の式で、混乱が始まりである。
*2 この関数は、EMANの物理学/解析力学/全微分で偏微分と常微分の違いを説明するのに用いられている。ページ自体は全微分の話である。偏微分と常微分の違いはその一番最後の節で述べられている。 *3 この関数は、EMANの物理学/解析力学/全微分で偏微分と常微分の違いを説明するのに用いられている。ページ自体は全微分の話で、偏微分と常微分の違いはその一番最後の節で述べられている。 *4 この時点で、は、とに関する2変数関数でありながら、に関する1変数関数にもなっている。変数の数が絶対的でなくなっている点に注意。 偏微分と偏微分の違い偏微分と常微分の違いは前節の通りである。しかし、これは一見良さそうだが、式の意味を読み取ろうとすると偏微分の矛盾が見えてくる*5。例えば、がに関する1変数関数に化けられるなら、冒頭で述べたように1変数関数を多変数関数の特例と見なせて、常微分と等価な青い偏微分が存在することになる。
の限界色んな条件を少し変えて、について考えてみよう。実ははと無関係で、だけがの関数だった、という話。条件を少し変えて、中途半端なについて考えてみよう。「と書いていたが、実はにが含まれて無く、だけにが含まれていた」という話。すると、は変わらないため、次の全微分は変わらず成立する。すると、であることに変わらないため、次の全微分も変わらず成立する。
偏微分の範囲直感的な説明:偏微分の数え方以下では、これまでの問題を直観的に説明してみる。以下では、偏微分の矛盾をという具体例を用いて、直観的に纏めてみる。まず、を に変形する。これに対し各項を全微分を考えると、 が得られる。一方で、から、偏微分が得られる。 ポイントは、を「の個数」として読めることである。まず、にとを少しずつ代入すると次の変形が得られる。
同様に、にとを代入すると、を得る。 全微分は 。常微分は全てのを数えた結果を表す。 対して、赤い偏微分は変わらず、赤いのみを数えたである。 それぞれの式から次の偏微分が考えられる:
次ぎに、限界の話ではのみを適応し、作った。 全微分は 。登場した青い偏微分はとの分を数えたである。 対して、赤い偏微分はの分のみを数えたである。 以上を図に纏めると次のようになる:その気になれば無数の偏微分を作れる。例えば、こんな色のも作れる。このように、、、の間に関係式を持てば、を変えずにの数を任意に増減できてしまう。その結果、は何個のを数えても良く、任意の値を取れることになる。纏めると:
1変数関数が多変数関数の特殊例と見なせば、偏微分も同じ意味で成り立つ。 「」と書かれる以上、どのが何色か分からなくなる。 このため、赤いだけを数えたくても無理である。これが凌宮数学の視点から見た偏微分と常微分である。 まとめ・つなぎ以上から、同じ関数の常微分と偏微分が異なる値を表す場合はあるが、その場合に次のことも言える:
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