偏微分と常微分の違い のバックアップ(No.3) |
偏微分と常微分の違いを問われて、多くの人は「固定する変数の有無」と答える。 定義式を眺めば頷ける。 ここで言う「固定する変数」とは偏微分の方に現れる赤い「」の部分である。 しかし、その違いは関数の違いで、微分操作自体は青い部分と変わらないようにも見える。 実際、1変数関数は2変数関数の特殊例と見なすことができ、その偏微分は常微分に一致する。 この疑問に答えるには、同じ関数に対しを示す必要がある。 その答えは「EMANの物理学/解析力学/全微分/偏微分と常微分の違い*1」でやっと見つかった。 偏微分と常微分の違いまず、準備として、2変数関数について、次の全微分が次のように定義される。 ここで、、であれば、と書けて、はの関数ということになる。このため、による常微分が存在し、次のようになる。 恐らく、偏微分を急いで学ぶ人にとって、これが同じ関数に対してとが並存する初めて式のはず。そして、多くの人はここで混乱するはず。 ここまでは多くのテキストで述べられている。しかし、この式では、「分母」が、、と異なっているため、まだ同じ微分とは言えない。これを揃えたのがEMANの物理学で登場するという上手い関数である。 まず、であるため、全微分は次のようになる。 次ぎに、、を適応すれば、はの関数になるため、常微分が次のようになる。 ここで、であるため、次のようになる。 がととの影響を受ける限り、どの項も消えずとなる。 しかし、EMANの物理では話しがココまでだが、この式の意味を読み取ろうとすると、微分表記の限界が見えてくる。 の限界、その1条件を少し変えて、について考えてみよう。実ははと無関係で、だけがの関数だった、という話。 すると、は変わらないので、次の全微分は変わらず成立する。 しかし、今度はを代入してもがとの関数にはなるが、だけの関数にはならない。このため、精々次のようにな偏微分しか存在しない。 同様に、がととの影響を受ける限り、どの項も消えずとなる。 記号衝突である。 の限界、その2の具体例を考えてみよう。
まず、のため、は間違いない。 次ぎに、をに変形しての式に足せばが得られる。このため、にもなれる。 つまり、は不定値である。 |