偏微分と常微分の違い のバックアップ(No.5) |
偏微分と常微分の違いを問われて、多くの人は「固定する変数の有無」と答える。これは定義式を眺めば頷ける。 ここで言う「固定する変数」とは偏微分の方に現れる赤い「」の部分である。 しかし、その違いは関数の違いで、微分操作自体は青い部分と変わらないようにも見える。 実際、1変数関数は2変数関数の特殊例と見なすことができ、その偏微分は常微分に一致する。 この疑問に答えるには、同じ関数に対しを示す必要がある。 その答えは「EMANの物理学/解析力学/全微分/偏微分と常微分の違い*1」でやっと見つかった。 偏微分と常微分の違いまず、準備として、2変数関数について、次の全微分が次のように定義される。 ここで、、であれば、と書けて、はの関数ということになる。このため、によるの常微分が存在し、次のようになる。 恐らく、偏微分を急いで学ぶ人にとって、これが同じ関数に対するとが並存する最初の式で、ここから混乱が始まる。 ここまでは多くのテキストで述べられている。しかし、まだとが同時に現れてはいない。これらを揃えたのがEMANの物理学で登場する関数の微分である。 まず、であるため、全微分は次のようになる。 次ぎに、、を適応すれば、はの関数になるため、常微分が次のようになる。 ここで、であるため、次のようになる。 がととの影響を受ける限り、どの項も消えずとなる。 EMANの物理では話しがココで終りである。しかし、さらに一歩踏み込んで式の意味を読み取ろうとすると、微分表記の限界が見えてくる。 の限界、その1条件を少し変えて、について考えてみよう。実ははと無関係で、だけがの関数だった、という話。 すると、は変わらないので、次の全微分は変わらず成立する。 しかし、今度はを代入してもがとの関数にはなるが、だけの関数にはならない。このため、精々次のようにな偏微分しか作れない。 同様に、がととの影響を受ける限り、どの項も消えずとなる。 の限界、その2の具体例を考えてみよう。
まず、のため、は間違いない。 次ぎに、をに変形しての式に足せばが得られる。このため、にもなれる。 偏微分の範囲以下では、これまでの問題を直観的に説明してみる。 まず、をに変形する。 すると、自ずとが得られる。 偏微分というのは、の個数を表す。 にとを代入すると、となる。 全微分は。 常微分は全てのの個数を表す。 次ぎに、限界その1ではのみを適応して、となる。 全微分は。 登場した青い偏微分はとの分を数えたである。 対して、赤い偏微分はの分のみを数えたである。 続けて、限界その2では1つのだけをに変換してを作った。 全微分は。 登場した偏微分は変換されたとの分を数えたである。 以上を図に纏めると次のようになる: 【編集中:を数える図】 |