表記法

記号法

工学や物理の記述に、言葉ではなく、数式を使うのは、無駄が無く要点を押さえているためである。上手い表記記法では、公式を覚えなくとも、記号を操作する感覚で答えを楽々と作り出してしまう。物理や数学の記述に数式を使うのは、要点を無駄無く押さえられるためである。良い表記は、必要な情報は漏れなく表記し、必要の無い情報は無駄に表記しない。
例えば、微分の連鎖則は次のように表記できる:ときに表記は思考を支配する。「0」は無を表す表記だが、この表記が無ければ今日の数学は無い。

記号法

似た関係に似た記号を使うと、新しい公式を覚えなくとも、記号と既に知ってる関係から新しい公式を作ることができる。
例えば、微分の表記は大まか$$ f'(x) $$$$ \ffd{dy}{dx} $$の2種類あって*1*2微分の連鎖則は次のように表記される:

ダッシュ表記:$$ F\,'(x) = f'(y) \, y'(x) $$

但し、$$ F(x) = f(y(x)) $$
分数形表記:$$ \ddd{z}{x} $$$$ = $$$$ \ddd{z}{y} $$$$ \ddd{y}{x} $$ ダッシュ表記: $$ (f(g(t)))' = f'(g(t)) \, g'(t) $$
分数形表記:  $$ \ddd{y}{t} $$$$ = $$$$ \ddd{f}{x} $$$$ \ddd{x}{t} $$

但し、$$ y = f(x),\,\, x = g(t) $$

 
ダッシュ表記では、恐らく但し書きとセットで公式を覚えるしかない。対して、分数形表記では$$ \ffd{Z}{X} = \ffd{Z}{Y} \, \ffd{Y}{X} $$のような約分の感覚が使える。この感覚さえあれば$$ \ddd{z}{a} = \ddd{z}{y} \, \ddd{y}{x} \, \ffd{dx}{\cdots} \cdots \ffd{\cdots}{dc} \, \ddd{c}{b} \, \ddd{b}{a} $$のような応用は簡単だが、これをダッシュ表記法を使ってたら書くのも読むのも面倒だろう。ここに雲泥の差がある。ダッシュ表記では公式を覚えるしかないのに対し、分数形表記では$$ \ffd{Y}{T} = \ffd{Y}{X} \, \ffd{X}{T} $$と同じ感覚で計算できる。つまり、分数形表記は高校の公式を小学校の計算に見せかける力を持っている。このため、$$ \ddd{z}{a} = \ddd{z}{y} \, \ddd{y}{x} \, \ffd{dx}{\cdots} \cdots \ffd{\cdots}{dc} \, \ddd{c}{b} \, \ddd{b}{a} $$のような微分の鎖は小学生でも解ける。逆に、これをダッシュ表記で書けと言われたら大学生でも頭痛するに違いない。
表記法一つで天国にも地獄にもなる。
*1 $$ f'(x) $$はラグランジュの記法、$$ \ffd{dz}{dx} $$はライプニッツの記法。
*2 ここは記号の発明者よりも記号の形が重要なので、以降はダッシュ表記と分数形表記で呼ぶ。

まとめ

猫は楽をするべく、
分数型表記のような便利な表記法を選ぶ。もし満足できる表記法が無ければ、独自の表記法を作り上げる。分数形表記のような便利な表記法を選ぶ。満足できる表記法が無ければ、独自の表記法を作り上げるまで。そこまでして楽をするのが猫のヤリ方である。
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