例題 EditToHeaderToFooter

二つの列車AとBは 300km 離れていて、列車 A は 70km/h で南に,列車 B は 80km/h で北に向かっている。

列車 A と列車 B の間を鳥 C が 120km/h で飛んでいる。この鳥は現在,中間地点 P に居り,列車 A に向かって飛んでいる。列車 A に辿り着いたら列車 B に向かい、列車 B に着いたら列車 A に向かうことを繰り返している。

列車 A と列車 B が出合うまでに、鳥 C が移動する距離を求めよう。

算数の解き方 EditToHeaderToFooter

算数で解く場合、設問より

Aの速度: $$ V_A $$=−70 km/h

Bの速度: $$ V_B $$=+80 km/h

相対距離: $$ L $$ =300 km

Cの速度: $$ V_C $$=120 km/h

ここから、

相対速度: $$ V $$=|$$ V_A $$$$ V_B $$|=150 km/h

出合時間: $$ T $$$$ L $$/$$ V $$=2 h

飛行距離: $$ X $$$$ V_C $$$$ T $$=240 km

よって、答え:240 km。

数値計算の解き方 EditToHeaderToFooter

この問題を代数で考えると図1のようになる。

図1:時空間図
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時間と位置のグラフを時空間図というが、横軸が時間の進み、縦軸が位置になる。移動した軌跡が線として現われる。図1では A と B を青い線、C を赤い線で表している。また、速さは向きと合わせて速度として軌跡線の傾きとして現われる。

図1では、時間は進む向きを正、位置には北を正としている。B の居る場所を基準にすると、$$ B $$=0km、$$ A $$=300km、$$ C $$=150km になる。速度は、Aが$$ V_A $$=−75km/h、Bが$$ V_B $$=+80km/h、Cが$$ V_C $$=±120km/h となる。特に C は速さが同じでも、AやBに出合う度に向きを逆転するため、速度は+120km/hのときと−120km/hのときに分かれる。しかし、向きも合わせて$$ V_C $$と置き、計算するときに値を変えるのが代数のヤリ方である。

そして、A、B、Cが動きだし、C が A に出合うまでの時間を$$ T_0 $$、その時Aの位置を$$ A_0 $$、Bの位置を$$ B_0 $$として、さらに動き続け、C が B に出合うまでの時間を$$ T_1 $$、その時Aの位置を$$ A_1 $$、Bの位置を$$ B_1 $$として、A と B が出合うまで鳥 C を追い続けば、答えが求まる。

具体的に、$$ A $$$$ C $$$$ V_A $$$$ V_C $$から$$ T_0 $$$$ T_0 $$$$ = $$$$ -\ffd{A - C}{V_A - V_C} $$として求まる。

そのとき、$$ A_0 $$$$ = $$$$ A $$$$ + $$$$ V_A $$$$ T_0 $$$$ B_0 $$$$ = $$$$ B $$$$ + $$$$ V_B $$$$ T_0 $$で求まる。

また、Cの進む距離は$$ X_0 $$$$ = $$$$ |V_C \, T_0| $$と求まる。

今、鳥が$$ C $$から$$ A_0 $$に移り、今度は$$ B_0 $$に居るBに向かって進む。このため、上の式に対し、$$ C $$$$ A_0 $$$$ A $$$$ B_0 $$に置換して、同様に計算を進められる。

結果として、$$ T_1 $$$$ = $$$$ -\ffd{B_0 - A_0}{V_B - V_C} $$$$ A_1 $$$$ = $$$$ A_0 $$$$ + $$$$ V_A $$$$ T_1 $$$$ B_1 $$$$ = $$$$ B_0 $$$$ + $$$$ V_B $$$$ T_1 $$$$ X_1 $$$$ = $$$$ | V_C \, T_1 | $$

同様に、$$ T_2 $$$$ = $$$$ -\ffd{A_1 - B_1}{V_A - V_C} $$$$ A_2 $$$$ = $$$$ A_1 $$$$ + $$$$ V_A $$$$ T_2 $$$$ B_2 $$$$ = $$$$ B_1 $$$$ + $$$$ V_B $$$$ T_2 $$$$ X_2 $$$$ = $$$$ | V_C \, T_2 | $$

計算結果を表にすると次のようになる:

$$ i $$$$ V_C $$$$ T_i $$$$ A_i $$$$ B_i $$$$ X_i $$$$ \Sigma\,X_i $$
0 +120 km/h 0.789 h 244.737 km 63.158 km 94.737 km 94.737 km
1 -120 km/h 0.908 h 181.184 km 135.789 km 108.974 km 203.684 km
2 +120 km/h 0.239 h 164.460 km 154.903 km 28.670 km 232.355 km
3 -120 km/h 0.048 h 161.115 km 158.726 km 5.734 km 238.089 km
4 +120 km/h 0.013 h 160.235 km 159.732 km 1.509 km 239.598 km
5 -120 km/h 0.003 h 160.059 km 159.933 km 0.301 km 239.899 km

一番右の$$ \Sigma\,X_i $$$$ X_0 $$から$$ X_i $$までの合計で、今回の求める答えである。しかし、段々と答えの 240km に近づいていくものの、毎回近づける量$$ X_i $$も段々小さくなって、中々240kmにはならない。もっとも、AとBが出合って$$ A_i $$$$ B_i $$になることもなく、計算自体が終わらない。実際、$$ \Sigma\,X_i $$はこの後 239.979 ⇒ 239.995 ⇒ 239.999 ⇒ と永遠に続く。

図で言うと、赤い折れ線はAとBの軌跡の間をずっと往復するが、AとBが出合う青い線の交点にピタッと辿り付くことが無く、往復が終わらない。

この方法は数値計算と呼ばれて、問題が複雑すぎて簡単に計算できないときに使われる。この場合、十分の桁数を計算したら計算を打ち切り、近似値で答えることになるが、例えば、5回目で打ち切る場合、必要な桁数に応じて 239.899 km、239.900、239.90 または 240 などで答えることになる。

算数の解き方の時空間図 EditToHeaderToFooter

では、最初にやった算数の時空間図を考えてみよう。

図2:時空間図(算数版)
File not found: "出合い算02.png" at page "出合い算"[添付]

AとBがそれぞれ$$ A $$$$ B $$から出発し、速度$$ V_A $$$$ V_B $$で走り、時間$$ T $$の後で出合う。ここまでは普通であるが、問題は速さの扱いである。

速さは速度の絶対値であり、$$ V_C $$が+120kmのときも−120kmのときも120kmのままである。このため、赤い実線が折れ曲がり、−120kmで右下に向かって進むとき、赤い点線のように無理やり+120kmとして進ませば、$$ T $$になるまで進んだ距離が答えの$$ X $$になる。さらに、点線はずっと同じ速度+120km/hで進むため、$$ X $$$$ V_C $$$$ T $$の単純乗算で求まる。

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