凌宮読取術:$$ \ppd{x}{y} $$$$ \ppd{y}{z} $$$$ \ppd{z}{x} $$$$ = $$$$ -1 $$ EditToHeaderToFooter

凌宮読解術:$$ \ppd{x}{y} $$$$ \ppd{y}{z} $$$$ \ppd{z}{x} $$$$ = $$$$ -1 $$$$ \Big(\! \iro[ak]- \ffd{k_y}{k_x} \!\Big) $$$$ \Big(\! \iro[ak]- \ffd{k_z}{k_y} \!\Big) $$$$ \Big(\! \iro[ak]- \ffd{k_x}{k_z} \!\Big) $$$$ = $$$$ \iro[ak]-1 $$ EditToHeaderToFooter

任意の2変数関数$$ z $$$$ = $$$$ f(x, y) $$について、オイラーの連鎖式と呼ばれる恒等式が成立する*1

オイラーの連鎖式: $$ \ppd{x}{y} $$$$ \ppd{y}{z} $$$$ \ppd{z}{x} $$$$ = $$$$ \iro[ao]-1 $$ オイラーの連鎖式: $$ \ppd{x}{y} $$$$ \ppd{y}{z} $$$$ \ppd{z}{x} $$$$ = $$$$ \iro[ak]-1 $$


問題は、$$ \partial x $$などを約分して$$ +1 $$にしたどころで、そんな期待を裏切る$$ \iro[ao]-1 $$である。

問題は、$$ \partial x $$などを形式的に約分して$$ 1 $$と書きたいどころ、期待を裏切る$$ \iro[ak]-1 $$である。
一般的な証明
*2*3は式を弄り回したら合ったレベルで、とても直感的とは言えない。 *4 *5 は式を色々弄ったら合ったようなもので、とても直観的とは言えない。

しかし、それだけで「偏微分は約分できない」と諦めるのは、まだ早計である。

$$ dx $$が約分できる結果だけ見て、$$ \partial x $$を約分するから上手く行かない。

$$ dx $$が約分できる原因を考えば、$$ \partial x $$を約分は勿論、負号も問題なく処理できる。

しかし、それだけで「偏微分は約分できない」と諦めるのは、まだ勿体ない。

$$ dx $$が約分できる結果だけ見て$$ \partial x $$をそのまま消すから、計算が上手く行かない。

$$ dx $$が約分できる仕組みを見て$$ \partial x $$を正しく読み替えると、約分も負号も直観的に考えられる。

凌宮数学では、オイラーの連鎖式は以下のように読み替える:

凌宮数学では、オイラーの連鎖式は以下のように読み替えてから約分する:

$$ \ppd{x}{y} $$$$ \ppd{y}{z} $$$$ \ppd{z}{x} $$$$ = $$ $$ \Big(\! \iro[ao]- \ffd{k_y}{k_x} \!\Big) $$$$ \Big(\! \iro[ao]- \ffd{k_z}{k_y} \!\Big) $$$$ \Big(\! \iro[ao]- \ffd{k_x}{k_z} \!\Big) $$ $$ \Big(\! \iro[ak]- \ffd{k_y}{k_x} \!\Big) $$$$ \Big(\! \iro[ak]- \ffd{k_z}{k_y} \!\Big) $$$$ \Big(\! \iro[ak]- \ffd{k_x}{k_z} \!\Big) $$$$ = $$ $$ \iro[ao]-1 $$ $$ \iro[ak]-1 $$

ここで、$$ k_? $$は全て係数であり、約分も符号も小学校同様に扱って良い。$$ k_x $$$$ k_y $$$$ k_z $$は全て普通の係数でしかないため、約分も符号処理も小学校レベルで済む。
*1 熱力学や熱化学では結ぶマクスウェルの規則$$ \Big(\! \ppd{P}{V} \!\Big)_T $$$$ \Big(\! \ppd{V}{T} \!\Big)_P $$$$ \Big(\! \ppd{T}{P} \!\Big)_V $$$$ = $$$$ -1 $$の形で学ぶことになる。
*2 参考:熱学の基礎/微分公式/偏微分
*3 参考:EMANの物理学/熱力学/状態方程式の微分形
*4 参考:熱学の基礎/微分公式/偏微分
*5 参考:EMANの物理学/熱力学/状態方程式の微分形

微分係数としての微分 EditToHeaderToFooter

陰微分陽微分 EditToHeaderToFooter


微分の捉え方の一つに、微分係数という考え方がある。

それは、関数の1次近似を考える際、得られる1次式の係数を微分と定義する方法である。

微分には「関数を1次近似した近似式の係数」すなわち微分係数という解釈がある。

例えば、関数$$ z $$$$ = $$$$ f(x,y) $$は1次式$$ z $$$$ = $$$$ a_0 $$$$ + $$$$ a_x $$$$ x $$$$ + $$$$ a_y $$$$ y $$と近似できるが、

変数$$ x $$$$ y $$の係数$$ a_x $$$$ a_y $$が微分係数で、それぞれが$$ z $$の偏微分$$ \ppd{z}{x} $$$$ \ppd{z}{y} $$となる。
被近似関数1次近似微分係数
記号関数従属変数
$$ z $$$$ = $$$$ f(x,y) $$$$ z $$$$ = $$$$ a_0 $$$$ + $$$$ a_x $$$$ x $$$$ + $$$$ a_y $$$$ y $$$$ a_x $$$$ , $$$$ a_y $$$$ \ppd{f}{x} $$$$ , $$$$ \ppd{f}{y} $$$$ \ppd{z}{x} $$$$ , $$$$ \ppd{z}{y} $$$$ \ffd{a_x}{ 1 } $$$$ , $$$$ \ffd{a_y}{ 1 } $$
  $$ x $$$$ = $$$$ \ffd{a_0}{-a_x} $$$$ + $$$$ \ffd{a_y}{-a_x} $$$$ y $$$$ + $$$$ \ffd{-1 }{-a_x} $$$$ z $$  $$ \ppd{x}{y} $$$$ , $$$$ \ppd{x}{z} $$$$ \iro[ao]- $$$$ \ffd{a_y}{a_x} $$$$ , $$$$ \ffd{ 1 }{a_x} $$
  $$ y $$$$ = $$$$ \ffd{a_0}{-a_y} $$$$ + $$$$ \ffd{-1 }{-a_y} $$$$ z $$$$ + $$$$ \ffd{a_x}{-a_y} $$$$ x $$  $$ \ppd{y}{z} $$$$ , $$$$ \ppd{y}{x} $$$$ \ffd{ 1 }{a_y} $$$$ , $$$$ \iro[ao]- $$$$ \ffd{a_x}{a_y} $$

一方で、$$ z $$$$ = $$$$ a_0 $$$$ + $$$$ a_x $$$$ x $$$$ + $$$$ a_y $$$$ y $$から$$ x $$$$ y $$につて解いた一次式からも微分係数が得られる。

例えば、$$ x $$について解いた式からは、$$ \ppd{x}{y} $$$$ \ppd{x}{z} $$が得られる。

同様に、$$ y $$について解いた式からは、$$ \ppd{y}{z} $$$$ \ppd{y}{x} $$が得られる。

$$ \ppd{x}{y} $$$$ \ppd{x}{z} $$を計算するのに、$$ z $$$$ = $$$$ \cdots $$の1次近似式から移項で作った式を利用した。

$$ x $$$$ = $$$$ g(y,z) $$と置いて$$ x $$$$ = $$$$ b_0 $$$$ + $$$$ b_y $$$$ y $$$$ + $$$$ b_z $$$$ z $$と近似しても良いが、記号が増えるだけで計算にならない。

$$ z $$$$ = $$$$ f(x,y) $$$$ x $$$$ = $$$$ g(y,z) $$も同じ関係を記述している以上、近似式も1つ選んで使い続けば良い。
表1: $$ z $$$$ = $$$$ f(x,y) $$の1次近似と微分係数
1次近似微分係数
係数表記関数表記変数表記
$$ z $$$$ = $$$$ a_0 $$$$ + $$$$ a_x $$$$ x $$$$ + $$$$ a_y $$$$ y $$$$ a_x , a_y $$$$ \ppd{f}{x},\ppd{f}{y} $$$$ \ppd{z}{x} $$$$ , $$$$ \ppd{z}{y} $$$$ \ffd{a_x}{ 1 } $$$$ , $$$$ \ffd{a_y}{ 1 } $$
$$ x $$$$ = $$$$ \ffd{\iro[ak]-a_0}{a_x} $$$$ + $$$$ \ffd{\iro[ak]-a_y}{a_x} $$$$ y $$$$ + $$$$ \ffd{ 1 }{a_x} $$$$ z $$$$ \iro[hi]{b_y, b_z} $$$$ \iro[hi]{\ppd{g}{y},\ppd{g}{z}} $$$$ \ppd{x}{y} $$$$ , $$$$ \ppd{x}{z} $$$$ \iro[ak]- \ffd{a_y}{a_x} $$$$ , $$$$ \ffd{ 1 }{a_x} $$
$$ y $$$$ = $$$$ \ffd{\iro[ak]-a_0}{a_y} $$$$ + $$$$ \ffd{ 1 }{a_y} $$$$ z $$$$ + $$$$ \ffd{\iro[ak]-a_x}{a_y} $$$$ x $$$$ \iro[hi]{c_z, c_x} $$$$ \iro[hi]{\ppd{h}{z},\ppd{h}{x}} $$$$ \ppd{y}{z} $$$$ , $$$$ \ppd{y}{x} $$$$ \ffd{ 1 }{a_y} $$$$ , $$$$ \iro[ak]- \ffd{a_x}{a_y} $$

重要なのは以下の4点:
  • 移項のために「$$ \iro[ao]- $$」が生じること。
  • 通常、関数を陽関数として1次近似するとき、従属変数の係数を$$ 1 $$にしていること。
  • それを考慮すると、微分の値は2つの係数の除算で表現できる。
  • 両方とも独立変数の場合に限り、「$$ \iro[ao]- $$」が残る。
    ここで重要なのは、移項で「$$ \iro[ak]- $$」が発生することである。

    その移項は独立変数について解くためで、移項で「$$ \iro[ak]- $$」付くのは別の独立変数の項に限る。

    このため、分母・分子とも独立変数の微分を見抜けば、「$$ \iro[ak]- $$」を正しく書ける。
このため、両方とも独立変数の微分を見抜けば、「$$ \iro[ao]- $$」を正しく扱えられる。
そこで、凌宮数学では以下のように陰微分と陽微分を定義する。
  • 陰微分: 関数を陰関数と見なした独立変数独立変数に関する微分
  • 陽微分: 関数を陽関数と見なした従属変数独立変数に関する微分

陽微分と陰微分 EditToHeaderToFooter


すると、関数の1次近似式の係数で微分の値を表すとき、微分ので「$$ \iro[ak]- $$」のを判定できる。
  • 陰微分: 「$$ \iro[ak]- $$有り
  • 陽微分: 「$$ \iro[kr]- $$無し
以上の結果を承けて、凌宮数学では以下のように陽微分と陰微分を定義する。
  • 陽微分: 関数の独立変数と従属変数に関する微分
  • 陰微分: 関数の独立変数と独立変数に関する微分

そうすると、関数を一次近似した式の係数の割り算で微分の値を表すとき、

陽微分には負号が付かず、陰微分には「$$ \iro[ao]- $$」が付く性質を持つ。

参考:$$ \ddd{y}{x} $$$$ \ddd{x}{y} $$$$ = $$$$ 1 $$への適応 EditToHeaderToFooter


高校では$$ y $$$$ = $$$$ f(x) $$のような1変数関数しか考えないため、自ずと陽微分になる。

したがって、陽微分は高校からならう微分係数そのもので、いわゆる通常の微分と言える。

これに対し、陰微分は大学で黙って登場するが、係数で書くと$$ \iro[ao]- $$」が付く新しい微分と言える。

高校で習う$$ \ddd{y}{x} $$$$ \ddd{x}{y} $$$$ = $$$$ 1 $$は、陽関数$$ y $$$$ = $$$$ f(x) $$と陰関数$$ 0 $$$$ = $$$$ F(x,y) $$の2通りの考え方がある。

陽微分で考えると、高校で習う$$ \ddd{y}{x} $$$$ \ddd{x}{y} $$$$ = $$$$ 1 $$は、

関数を$$ y $$$$ = $$$$ f(x) $$に関する2つの陽微分であり、約分できて、「$$ \iro[ao]- $$」が付かない、という結果になる。

陽関数で考える場合、$$ \ddd{y}{x} $$$$ \ddd{x}{y} $$も陽微分となり、陽陽で「$$ \iro[ak]- $$」が現れず、そのまま約分可能となる。

$$ y $$$$ = $$$$ a_0 $$$$ + $$$$ a_x $$$$ x $$ $$ y $$$$ = $$$$ f(x) $$$$ \approx $$$$ a_0 $$$$ + $$$$ a_x $$$$ x $$  $$ \Rightarrow $$   $$ \ddd{y}{x} $$$$ \ddd{x}{y} $$$$ = $$$$ \ffd{a_x}{a_y} $$$$ \ffd{a_y}{a_x} $$$$ = $$$$ 1 $$ $$ \ddd{y}{x} $$$$ \ddd{x}{y} $$$$ = $$$$ \ffd{a_x}{1} $$$$ \ffd{1}{a_x} $$$$ = $$$$ 1 $$


同様に、大学で習う$$ \ppd{x}{y} $$$$ \ppd{y}{z} $$$$ \ppd{z}{x} $$$$ = $$$$ -1 $$は、

関数を$$ z $$$$ = $$$$ f(x,y) $$で考えると、1つの陰微分$$ \ppd{x}{y} $$と2つの陽微分$$ \ppd{y}{z} $$$$ \ppd{z}{x} $$の積であるため、

係数の約分は相変わらず成立し、符号は「$$ \iro[ao]- $$」になる。

陰関数で考える場合、$$ \ddd{y}{x} $$$$ \ddd{x}{y} $$も陰微分となり、陰陰で「$$ \iro[ak]- $$」は2つ現れては打ち消される。

$$ z $$$$ = $$$$ a_0 $$$$ + $$$$ a_x $$$$ x $$$$ + $$$$ a_y $$$$ y $$ $$ 0 $$$$ = $$$$ F(x,y) $$$$ \approx $$$$ k_0 $$$$ + $$$$ k_x $$$$ x $$$$ + $$$$ a_y $$$$ y $$   $$ \Rightarrow $$   $$ \ddd{y}{x} $$$$ \ddd{x}{y} $$$$ = $$$$ \Big( \iro[ak]- \ffd{a_x}{a_y} \Big) $$$$ \Big( \iro[ak]- \ffd{a_y}{a_x} \Big) $$$$ = $$$$ 1 $$


どちらの結果も$$ dx $$$$ dy $$自体を約分しているように見えるため、符号を気にしなくとも計算できる。

本題:$$ \ppd{x}{y} $$$$ \ppd{y}{z} $$$$ \ppd{z}{x} $$$$ = $$$$ -1 $$への適応 EditToHeaderToFooter


大学で習う$$ \ppd{x}{y} $$$$ \ppd{y}{z} $$$$ \ppd{z}{x} $$$$ = $$$$ -1 $$は、 陽関数$$ x $$$$ = $$$$ f(y,z) $$$$ y $$$$ = $$$$ g(z,x) $$$$ z $$$$ = $$$$ h(x,y) $$の3通りと、

陰関数$$ 0 $$$$ = $$$$ F(x,y,z) $$を合わせて計4通りの考え方がある。
陽関数$$ z $$$$ = $$$$ f(x,y) $$で考える場合、
$$ \ppd{x}{y} $$が陰微分、$$ \ppd{y}{z} $$$$ \ppd{z}{x} $$が陽微分となり、係数を約分しても陰陽陽で「$$ \iro[ak]- $$」が残る。
$$ z $$$$ = $$$$ f(x,y) $$$$ \approx $$$$ a_0 $$$$ + $$$$ a_x $$$$ x $$$$ + $$$$ a_y $$$$ y $$

$$ \Rightarrow $$

$$ \ppd{x}{y} $$$$ \ppd{y}{z} $$$$ \ppd{z}{x} $$$$ = $$$$ \Big( \iro[ao]- \ffd{a_x}{a_y} \Big) $$$$ \ffd{a_z}{a_y} $$$$ \ffd{a_x}{a_z} $$$$ = $$$$ \iro[ao]- 1 $$ $$ \ppd{x}{y} $$$$ \ppd{y}{z} $$$$ \ppd{z}{x} $$$$ = $$$$ \Big( \iro[ak]- \ffd{a_y}{a_x} \Big) $$$$ \ffd{1}{a_y} $$$$ \ffd{a_x}{1} $$$$ = $$$$ \iro[ak]- 1 $$

勿論、$$ x = $$$$ g(y,z) $$$$ y $$$$ = $$$$ h(z,x) $$で考えても、陰となる微分が変わるだけで、1陰2陽の関係と結果は変わらない。
陽関数$$ x = $$$$ g(y,z) $$$$ y $$$$ = $$$$ h(z,x) $$で考えても、陰になる微分が変わるだけで、1陰2陽の関係は変わらない。

$$ x $$$$ = $$$$ b_0 $$$$ + $$$$ b_y $$$$ y $$$$ + $$$$ b_z $$$$ z $$ $$ x $$$$ = $$$$ g(y,z) $$$$ \approx $$$$ b_0 $$$$ + $$$$ b_y $$$$ y $$$$ + $$$$ b_z $$$$ z $$

$$ \Rightarrow $$

$$ \ppd{x}{y} $$$$ \ppd{y}{z} $$$$ \ppd{z}{x} $$$$ = $$$$ \ffd{b_x}{b_y} $$$$ \Big( \iro[ao]- \ffd{b_z}{b_y} \Big) $$$$ \ffd{b_x}{b_z} $$$$ = $$$$ \iro[ao]- 1 $$ $$ \ppd{x}{y} $$$$ \ppd{y}{z} $$$$ \ppd{z}{x} $$$$ = $$$$ \ffd{b_y}{1} $$$$ \Big( \iro[ak]- \ffd{b_z}{b_y} \Big) $$$$ \ffd{1}{b_z} $$$$ = $$$$ \iro[ak]- 1 $$

$$ y $$$$ = $$$$ c_0 $$$$ + $$$$ c_z $$$$ z $$$$ + $$$$ c_x $$$$ x $$ $$ y $$$$ = $$$$ h(z,x) $$$$ \approx $$$$ c_0 $$$$ + $$$$ c_z $$$$ z $$$$ + $$$$ c_x $$$$ x $$

$$ \Rightarrow $$

$$ \ppd{x}{y} $$$$ \ppd{y}{z} $$$$ \ppd{z}{x} $$$$ = $$$$ \ffd{c_x}{c_y} $$$$ \ffd{c_z}{c_y} $$$$ \Big( \iro[ao]- \ffd{c_x}{c_z} \Big) $$$$ = $$$$ \iro[ao]- 1 $$ $$ \ppd{x}{y} $$$$ \ppd{y}{z} $$$$ \ppd{z}{x} $$$$ = $$$$ \ffd{1}{c_x} $$$$ \ffd{c_z}{1} $$$$ \Big( \iro[ak]- \ffd{c_x}{c_z} \Big) $$$$ = $$$$ \iro[ak]- 1 $$

陰関数の陰微分とオイラーの連鎖式 EditToHeaderToFooter


陰関数$$ 0 $$$$ = $$$$ F(x,y,z) $$で考える場合、陰陰陰と全て陰微分になるだけで、答えは変わらない。
$$ 0 $$$$ = $$$$ F(x,y,z) $$$$ \approx $$$$ k_0 $$$$ + $$$$ k_x $$$$ x $$$$ + $$$$ k_y $$$$ y $$$$ + $$$$ k_z $$$$ z $$
 $$ \Rightarrow $$ 
$$ \ppd{x}{y} $$$$ \ppd{y}{z} $$$$ \ppd{z}{x} $$$$ = $$$$ \Big( \iro[ak]- \ffd{k_x}{k_y} \Big) $$$$ \Big( \iro[ak]- \ffd{k_z}{k_y} \Big) $$$$ \Big( \iro[ak]- \ffd{k_x}{k_z} \Big) $$$$ = $$$$ \iro[ak]- 1 $$

これまで、$$ \ppd{x}{y} $$$$ \ppd{y}{z} $$$$ \ppd{z}{x} $$$$ = $$$$ -1 $$に対し、

$$ z $$$$ = $$$$ f(x,y) $$$$ x = $$$$ g(y,z) $$$$ y $$$$ = $$$$ h(z,x) $$と好きな関数を置いて陰微分と陽微分を考えてきた。

$$ \ppd{x}{y} $$$$ \ppd{y}{z} $$$$ \ppd{z}{x} $$には関数記号が全く無いため、使う関数が自由なのは容易に想像できるだろう。

陰関数では全ての変数が独立変数であるため、陰関数の微分は全て陰微分になる。

したがって、陰関数で考え、全ての微分を一律「$$ - $$」付きの陰微分として扱うのが楽である。

3つの変数$$ x $$$$ y $$$$ z $$の関係を記述する関数に、次の陰関数というのもある
*6
  • 陰関数: $$ 0 $$$$ = $$$$ F(x,y,z) $$
    表2: $$ 0 $$$$ = $$$$ F(x,y,z) $$の1次近似と微分係数(参考)
    1次近似微分係数
    記号表記関数表記変数表記
     $$ x $$$$ = $$$$ - $$$$ \ffd{k_0}{k_x} $$$$ - $$$$ \ffd{k_y}{k_x} $$$$ y $$$$ - $$$$ \ffd{k_z}{k_x} $$$$ z $$$$ \iro[hi]{a_y, a_z} $$$$ \iro[hi]{\ppd{f}{x},\ppd{f}{y}} $$$$ \ppd{x}{y} $$$$ , $$$$ \ppd{x}{z} $$$$ \iro[ak]- \ffd{k_y}{k_x} $$$$ , $$$$ \iro[ak]- \ffd{k_z}{k_x} $$
     $$ y $$$$ = $$$$ - $$$$ \ffd{k_0}{k_y} $$$$ - $$$$ \ffd{k_z}{k_y} $$$$ z $$$$ - $$$$ \ffd{k_x}{k_y} $$$$ x $$$$ \iro[hi]{b_y, b_z} $$$$ \iro[hi]{\ppd{g}{y},\ppd{g}{z}} $$$$ \ppd{y}{z} $$$$ , $$$$ \ppd{y}{x} $$$$ \iro[ak]- \ffd{k_z}{k_y} $$$$ , $$$$ \iro[ak]- \ffd{k_x}{k_y} $$
     $$ z $$$$ = $$$$ - $$$$ \ffd{k_0}{k_z} $$$$ - $$$$ \ffd{k_x}{k_z} $$$$ z $$$$ - $$$$ \ffd{k_y}{k_z} $$$$ x $$$$ \iro[hi]{c_z, c_x} $$$$ \iro[hi]{\ppd{h}{z},\ppd{h}{x}} $$$$ \ppd{z}{x} $$$$ , $$$$ \ppd{z}{y} $$$$ \iro[ak]- \ffd{k_x}{k_z} $$$$ , $$$$ \iro[ak]- \ffd{k_y}{k_z} $$

もっとも、$$ \ppd{x}{y} $$$$ \ppd{y}{z} $$$$ \ppd{z}{x} $$には従属変数と独立変数の区別も無く、対称的である。

このため、従属変数と独立変数の区別が無く皆平等に扱う陰関数で考えた方が簡潔だったりする:

形式上、陰関数では全ての変数が独立変数と見なせるため、陰関数の微分は全て陰微分になる。
$$ 0 $$$$ = $$$$ k_0 $$$$ + $$$$ k_x $$$$ x $$$$ + $$$$ k_y $$$$ y $$$$ + $$$$ k_z $$$$ z $$$$ $$
$$ \Rightarrow $$
$$ \ppd{x}{y} $$$$ \ppd{y}{z} $$$$ \ppd{z}{x} $$$$ = $$$$ \Big( \iro[ao]- \ffd{k_x}{k_y} \Big) $$$$ \Big( \iro[ao]- \ffd{k_z}{k_y} \Big) $$$$ \Big( \iro[ao]- \ffd{k_x}{k_z} \Big) $$$$ = $$$$ \iro[ao]- 1 $$
以上。
*6 $$ F $$が陰関数であるのに対し、上記$$ z $$$$ = $$$$ f(x,y) $$$$ x = $$$$ g(y,z) $$$$ y $$$$ = $$$$ h(z,x) $$は陽関数と呼ばれる。
*7 陰関数では関数値$$ F $$と等値関係にある変数の表記は無い

まとめ・つなぎ EditToHeaderToFooter


オイラーの連鎖式の符号は、「偏微分が約分できない」の代名詞のように使われることがある。

しかし、それは常微分と偏微分の違いではなく、被微分変数と微分変数の関係の違いである。

微分の基本である微分係数に立ち戻って工夫をすれば、ちゃんと小学校レベルの約分になる。

「微分は分数ではないので約分できない」ではなく、「偏微分だから約分できない」でもなく、

「微分から近似式の係数に簡単に変換でき、係数であれば簡単に約分できる」と教えて欲しい。
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