オイラーの連鎖式 のバックアップの現在との差分(No.3) |
猫式読取術:凌宮読解術: ⇒任意の2変数関数について、オイラーの連鎖式と呼ばれる恒等式が成立する*1。
問題は、などを形式的に約分してと書きたいどころ、期待を裏切るである。 一般的な証明 *2 *3 は式を色々弄ったら合ったようなもので、とても直観的とは言えない。任意の2変数関数について、オイラーの連鎖式と呼ばれる対称性の良い恒等式が成立する*4 しかし、それだけで「偏微分は約分できない」と諦めるのは、まだ勿体ない。 が約分できる結果だけ見てをそのまま消すから、計算が上手く行かない。 が約分できる仕組みを見てを正しく読み替えると、約分も負号も直観的に考えられる。 凌宮数学では、オイラーの連鎖式は以下のように読み替えてから約分する:
*1
熱力学や熱化学では結ぶマクスウェルの規則の形で学ぶことになる。
*2 参考:熱学の基礎/微分公式/偏微分 *3 参考:EMANの物理学/熱力学/状態方程式の微分形 *4 熱力学や化学の分野では圧力、体積、温度を結ぶマクスウェルの規則の形で学ぶことになる。 陰微分と陽微分問題は、もし右辺がならば、恐らく誰もが「分子のと分母のが打ち消して…」と簡単に納得できるところ、残念ながらである。微分には「関数を1次近似した近似式の係数」すなわち微分係数という解釈がある。 例えば、関数は1次式と近似できるが、 変数との係数とが微分係数で、それぞれがの偏微分、となる。特に覚えにくくも無いが、直感的イメージできる方が楽である。 一方で、からやにつて解いた一次式からも微分係数が得られる。 例えば、について解いた式からは、、が得られる。 同様に、について解いた式からは、、が得られる。
(1) 微分は1次近似ここで重要なのは、移項で「」が発生することである。 その移項は独立変数について解くためで、移項で「」付くのは別の独立変数の項に限る。 このため、分母・分子とも独立変数の微分を見抜けば、「」を正しく書ける。任意の1変数関数について、各点において直線で近似しようとするとき、係数となる。これが微分値が微分係数と呼ばれる故でもある。 そこで、凌宮数学では以下のように陰微分と陽微分を定義する。
すると、関数の1次近似式の係数で微分の値を表すとき、微分の陰陽で「」の有無を判定できる。
(2) 陰関数で対称性参考:への適応について、と変形でき、左辺を纏めてとおける。この関係では、を陽関数、を陰関数と呼ばれる。式の見た目では、陽関数は1つの変数だけを特別扱いするのに対し、陰関数では全ての変数について対照的な表記になっている。高校で習うは、陽関数と陰関数の2通りの考え方がある。陰関数で考える場合、1変数関数の場合はで近似することになる。その結果、、となり、になる。 陽関数で考える場合、もも陽微分となり、陽陽で「」が現れず、そのまま約分可能となる。 その結果、 、、となり、、 、になる。陰関数で考える場合、もも陰微分となり、陰陰で「」は2つ現れては打ち消される。 どちらの結果もと自体を約分しているように見えるため、符号を気にしなくとも計算できる。 まとめ:傾きの符号本題:への適応(1) は陽関数、(2)は陰関数で考えてきた。いずれも、微分の原点である1次近似という発想で手抜きしているが、最終的に関数に寄らずに恒等であるため結果は正しい。大学で習うは、 陽関数、、の3通りと、 陰関数を合わせて計4通りの考え方がある。ポイントは、(1)と(2)における「」の現れるタイミングである。陽関数で考える場合、 が陰微分、とが陽微分となり、係数を約分しても陰陽陽で「」が残る。 陽関数やで考えても、陰になる微分が変わるだけで、1陰2陽の関係は変わらない。 陰関数で考える場合、陰陰陰と全て陰微分になるだけで、答えは変わらない。 陰関数では全ての変数が独立変数であるため、陰関数の微分は全て陰微分になる。 したがって、陰関数で考え、全ての微分を一律「」付きの陰微分として扱うのが楽である。纏めて、の意味は、
まとめ・つなぎオイラーの連鎖式の符号は、「偏微分が約分できない」の代名詞のように使われることがある。 しかし、それは常微分と偏微分の違いではなく、被微分変数と微分変数の関係の違いである。 微分の基本である微分係数に立ち戻って工夫をすれば、ちゃんと小学校レベルの約分になる。 「微分は分数ではないので約分できない」ではなく、「偏微分だから約分できない」でもなく、 「微分から近似式の係数に簡単に変換でき、係数であれば簡単に約分できる」と教えて欲しい。 |