温度単位の変換 のバックアップの現在との差分(No.21) |
温度単位の換算日本では、温度の単位にセルシウス度とケルビンが一般的に用いられている*1。 歴史的理由により、日常的には、自然科学ではと使い分けされる。 との換算が加算関係であるのが特徴で、乗算関係が多い単位換算では例外的である。 日本では、温度の単位にケルビンとセルシウス度が一般的に用いられている*2。 歴史的理由により、自然科学では、日常的にはと使い分けされる。 との換算が加算関係であるのが特徴で、乗算関係が多い単位換算では例外的である。 例えば、と同じ長さ異なる単位で表すと換算はになる。 対して、と同じ温度を異なる単位で表すと換算はになる。 例えば、と同じ長さ異なる単位で表すと換算はになる。 対して、 *3 と同じ温度を異なる単位で表すと換算はになる。 SI単位系で数値を表すには、、と、量を単位で割った表記を使う*4。
温度の場合は、と表記でき*6、温度単位の換算はこうなる: 温度の場合は、と表記でき、温度単位の換算はこうなる:
*1
http://www.meti.go.jp/committee/materials/downloadfiles/g50913a412j.pdf
*2 http://www.meti.go.jp/committee/materials/downloadfiles/g50913a412j.pdf *3 も、その具体例であるも含め、単位換算の考え方は非SI的であることに注意。 SI単位系の表記では絶対温度を、セルシウス温度をと書き分けるている。 単位の違いと見なす場合では同じ温度を指すため、凌宮数学では温度を表すのに一つの量記号に統一している。 *4 国際文書第8版 国際単位系(SI) 日本語版 5.3.1 量の値と数値,及び量の四則演算 (p43-44) https://www.nmij.jp/library/units/si/R8/SI8J.pdf *5 この換算表記は、乗算関係を前提にしていることに注意。 *6 SI単位系の表記では絶対温度を、セルシウス温度をと書き分けるている。 しかし、単位の違いと見なす場合、同じ物理量を指す。このため、凌宮数学では量記号に統一する。 比例式に与える影響比例式に与える影響一般に、温度と比例関係にある法則を定式化した場合、量の方程式は当然比例式になる。 しかし、数値方程式では、絶対温度を用いた場合は同形の比例式になるのに対し、 セルシウス温度を用いた場合は比例式にならず少し複雑な式に化ける。 一般に、比例関係が成り立つ法則を定式化した場合、量の方程式は比例式になる。 しかし、数値方程式では、単位にケルビンを用いた場合は同形の比例式になるのに対し、 単位にセルシウス度を用いた場合は比例式にならず、少し複雑な式に化ける。 例えば、シャルルの法則では気体の温度は体積に比例し*7、量方程式は比例式になる。 における気体の体積をとすると、シャルルの法則は表1にある各式に書けて、 セルシウス温度を用いる場合のみ、温度の項毎にが加わり、比例式で無くなる。 例えば、シャルルの法則では気体の温度は体積に比例し*8、量方程式は比例式になる。 における気体の体積をとすると、シャルルの法則は表1にある各式に書けて、 セルシウス度を用いる場合のみ、温度を表す数値毎に定数が加わり、比例式で無くなる。
相対温度での考え方 ── 基準の違い量の換算 ── 基準違いの温度差SI単位系ではとの違いを単位の違いと見なすが、これらを量の違いと見なすことも可能:
この視点では、との単位変換はとの座標変換に変わる。 いわゆる通常の温度差は、任意の状態の温度を基準とした温度差を意味する。 状態の選び方は任意である。 基準にとを選んだ場合に、 それぞれ絶対温度とセルシウス温度という名前が特別に付いているだけである。 この温度を温度差と見なす視点では、との単位変換はとの量の変換に変わる: 相対温度において、とは全く同じ単位となる。 習慣的に日常的な話をする場合にが好まれる程度の違いでしかない。 このため、はと表記してもと表記しても同じである*12。 温度差において、とは全く同じ単位となり、単位換算としてはとなる。 日常的に使われるセルシウス温度を表すのにが好まれる程度の違いでしかない。 実際、と以外の温度を基準に選んだ場合の温度差は、どちらの単位を用いても構わない。好みの問題である。 量の換算に基づく考え方では、以下の2点において単位換算よりも汎用的と言える。
*11
SI単位系ではを移項した式でセルシウス温度を定義している。
国際文書第8版 国際単位系(SI) 日本語版 2.1.1.5 熱力学温度の単位(ケルビン) (p24-25) https://www.nmij.jp/library/units/si/R8/SI8J.pdf *12 相対温度の考え方ではという物理量自身に絶対零度を基準にしている意味が含まれるため、温度差と同様、を使っても水の凝固点からの温度にならないことに注意。 高度での例圧力における類似例温度の他に、高度にも基準点の違いで海抜高度と地上高度の2種類が良く用いられる:
東経、北緯*14、以下の換算式が成立つ: 絶対圧とゲージ圧には、大気圧を介した加算換算が成り立つ。
ここで、の単位は、海抜高度と地上高度で共通であるのがポイントである。 前述の「セルシウス温度を相対温度とする見方において、とは全く同じ単位」とは、 海抜高度のと地上高度のと同じほど区別する必要がない意味である。 実例として、スーパー富士屋の津波避難タワーに関する記述が挙げられる*15。 建物と津波の両方に関わるため、地上高度と海抜高度の両方を示す必要があったと推測できる:
ただし、工学的には単位の後ろに以下の記号を付けて明記する場合があり、 特にとの表記はやと単位に空白無しで綴られ、 あたかも異なる単位のように見える場合はある。
*13
ORION > 真空単位(ゲージ圧と絶対圧) http://www.orionkikai-vacuum-pump.com/tech03-4.html
*14 https://www.google.com/maps/place/%E5%AF%8C%E5%A3%AB%E5%B1%8B%E3%83%BB%E7%94%B0%E5%B0%BB%E5%8C%97%E5%BA%97/@34.834118,138.325502,14z/data=!4m2!3m1!1s0x0:0xac4fa7face47eadc))での海抜を基準に選べば((1気圧における水の凝固点温度を条件に選んだセルシウス温度の基準と同じぐらい適当加減である。 *15 富士屋50周年記念事業 スーパー富士屋津波避難タワー http://www.4919228.com/news/%E5%AF%8C%E5%A3%AB%E5%B1%8B50%E5%91%A8%E5%B9%B4%E8%A8%98%E5%BF%B5%E4%BA%8B%E6%A5%AD%E3%80%80%E3%82%B9%E3%83%BC%E3%83%91%E3%83%BC%E5%AF%8C%E5%A3%AB%E5%B1%8B%E6%B4%A5%E6%B3%A2%E9%81%BF%E9%9B%A3%E3%82%BF 演算の変換依存性高度における類似例話を纏めると、良く用いられる温度の単位には2種類あり、加算で換算するのが珍しい。 単位の違いと見なす考え方の他に、座標の違いと見なすことも可能。 温度以外において単位の違いとする例が無く、座標の違いとして扱うのが一般的。 高度では、基準点の違いで地上高度と海抜高度の2種類が良く用いられる*16:
セルシウス度とケルビンを単位の違いとして扱う見方では、 以下の数値方程式により単位換算が行われる: 地上高度と海抜高度には、地面の海抜高度を介した加算変換が成り立つ:
セルシウス温度と絶対温度を座標の違いとして扱う見方では、 以下の量方程式により座標変換が行われる: ここで、地面の海抜高度も大気圧と同様、場所と時間*18に依存する。 このため、地上高度と海抜高度を単位変換としては扱えない*19。 また、工学でも単位で区別する習慣は無い。 *16
富士屋50周年記念事業 スーパー富士屋津波避難タワー
*17 歴史的に残る「摂氏度」などの言い方は「海抜」などと同じである。 *18 地震などにより地殻変動が起きた場合。 *19 前述の「温度差において、とは全く同じ単位。」とは、 この海抜高度のと地上高度のと同じほど区別する必要がない意味であることに注意。 演算の加法変換依存性これまでに、温度換算に関する2種類の考え方を紹介してきた。 換算式は全て加算関係であり*20、 ケルビンとセルシウス度の単位変換として考える場合は、 絶対温度とセルシウス温度の量の変換として考える場合はになる。 表1で挙げたシャルルの法則のように、加法換算は式の姿を変える場合がある。 以下では、基本的な演算の加算変換依存性について列挙する。 なお、量の変換として扱い、で絶対温度、でセルシウス温度を表すとする。 温度差温度比(依存)例えば、状態と状態があり、それぞれの温度やを基準とする温度差は、 セルシウス温度と絶対温度ではそれぞれ次のように表現できる:
状態と状態があり、温度や温度比を以下のように置く:
温度も温度差も座標系に依存しないため、、、である。 を代入しても、下駄の部分が打消して、辻褄は合う。 にを代入しても、が打消せず、温度比は加法変換に依存する。
このため、絶対零度を原点とする比例関係を持つ現象を記述する熱力学法則では、 絶対零度を基準としないセルシウス温度で記述すると比例式にならず、式が煩雑になる。 高度の例も同様、高度を比で比べるには基準を決める必要がある。 建物を比べる場合は地上高度、山を比べる場合は海抜高度が用いられるように、 両方が実用的意味を持ち、使い分けが必要である。 温度比 ── 座標依存量の例温度差(非依存)状態と状態があり、それぞれの温度と温度比は、 セルシウス温度と絶対温度ではそれぞれ次のように書く場合を考える:
状態と状態があり、温度や状態を基準とする温度差を以下のように置く:
温度は座標系に依存しないため、、である。 温度差と異なるのは、温度商は座標依存量でになる。 を代入しても、下駄が打消せないのが直ちに分かる。 にを代入すると、が打消し、温度差は加法変換に依存しない。
シャルルの法則で体積商が比例するのは絶対零度を基準とした温度商に限られるため、 絶対温度に座標変換してから数値除算する必要がある。 セルシウス温度の数値除算もを基準にする比較では意味を持ちうるが、一般性に欠ける。 このため、いわゆる「温度の差」は絶対温度やセルシウス温度の基準に依らない。 基準を状態に設定され、絶対温度やセルシウス温度に依存しないため、直観的にも理解できる。 また、変換の差異であるが不変である事実からも、容易にと導ける。 高度でも同じ関係である。 同じ2点の高度商でも、地上高度と海抜高度では単純に数値除算しても商は異なる。 しかも、建物を比べる場合は地上高度、山を比べる場合は海抜高度が用いられるように、両方が実用的意味を持つ。 温度和と平均温度 ── 座標依存量と座標不変量の違い温度差の比(非依存)温度差の基準が既に明示され、絶対温度とセルシウス温度に依らないため、 温度差から作られる量も自ずと絶対温度とセルシウス温度に依存しない。 例えば、状態を基準とすると、温度差の比は以下のように定義できる:
にもしくは導出済みのを代入すると、 が得られる。 このため、状態、、における体積を、、と置けば、 シャルルの法則を単位や基準に依存しない形に書き換えできる*22:
温度の和(依存)状態と状態があり、温度や温度和を以下のように置く*23*24:
地上高度の和にを代入すると、海抜高度の和とは異なる量になる。 にを代入しても、が打消せず、温度和は加法変換に依存する。
このため、絶対温度で取った和とセルシウス温度で取った和は異なる量になる。 どちらも汎用的な意味を持たず、一般的に、温度の和は物理的意味を持たない。 温度の平均(依存、変換関係は保存)
状態と状態があり、温度や平均温度を以下のように置く*25*26:
にを代入すると、が打消せず、温度の平均は加法変換に依存する。 ただし、が増減せずに残るため、加法変換自体は保存され、が成り立つ。 このため、平均温度は状態として単位に依存せず、量の変換は対象温度と同く加算変換となる。 一般に、絶対温度の平均とセルシウス温度の平均は異なる量であるが、 絶対温度とセルシウス温度は同じ状態に対する異なる見方であると同様、 絶対温度で表される平均温度と、セルシウス温度で表される平均温度も、同じ状態に対する異なる見方である。 参考 |