温度単位の変換 のバックアップ(No.31) |
温度単位の換算日本では、温度の単位にケルビンとセルシウス度が一般的に用いられている*1。 例えば、と同じ長さ異なる単位で表すと換算はになる。 SI単位系で数値を表すには、、と、量を単位で割った表記を使う*2。 温度の場合は、と表記でき*4、温度単位の換算はこうなる: *1
http://www.meti.go.jp/committee/materials/downloadfiles/g50913a412j.pdf
*2 国際文書第8版 国際単位系(SI) 日本語版 5.3.1 量の値と数値,及び量の四則演算 (p43-44) https://www.nmij.jp/library/units/si/R8/SI8J.pdf *3 この換算表記は、乗算関係を前提にしていることに注意。 *4 SI単位系の表記では絶対温度を、セルシウス温度をと書き分けるている。 しかし、単位の違いと見なす場合は同じ温度を指すため、凌宮数学では一の量記号をに統一する。 したがって、この考え方は非SI的と言える。 比例式に与える影響一般に、温度と比例関係にある法則を定式化した場合、量の方程式は当然比例式になる。 例えば、シャルルの法則では気体の温度は体積に比例し*5、量方程式は比例式になる。
量の換算 ── 基準違いの相対温度SI単位系ではとの違いを単位の違いと見なすが、これらを量の違いと見なすことも可能:
この視点では、との単位変換はとの量の変換に変わる: 相対温度において、とは全く同じ単位となる。 量の換算に基づく考え方では、以下の2点において単位換算よりも汎用的と言える。
*7
SI単位系ではを移項した式でセルシウス温度を定義している。
*8 相対温度の考え方ではという物理量自身に絶対零度を基準にしている意味が含まれるため、 温度差と同様、を使っても水の凝固点からの温度にならないことに注意。 圧力における類似例圧力では、ゲージ圧と絶対圧と呼ばれる2つの基準が良く用いられる*9。
ゲージ圧と絶対圧には、大気圧を介した加算換算が成り立つ。 温度と事情が異なるのは、大気圧の値は、約であるが、厳密には気圧変動に依存する。 ただし、工学的には単位の後ろに以下の記号を付けて明記する場合があり、
高度における類似例高度では、基準点の違いで地上高度と海抜高度の2種類が良く用いられる*10:
地上高度と海抜高度には、地面の海抜高度を介した加算変換が成り立つ: ここで、地面の海抜高度も大気圧と同様、場所と時間*11に依存する。 演算の加法変換依存性これまでに、温度換算に関する2種類の考え方を紹介してきた。 冒頭で挙げたシャルルの法則のように、乗算関係の換算を持つ多くの量とは異なる性質を示す。 温度比 ── 加法変換依存状態と状態があり、温度や温度比を以下のように置く:
にを代入しても、が打消せず、温度比が加法変換に依存するのが直ちに分かる。 このため、温度比を含むシャルルの法則やカルノーサイクルの効率などの熱力学法則では、基準を絶対零度に決める必要がある。 温度差例えば、状態と状態があり、温度や状態を基準とする温度差を以下のように置く:
にを代入すると、が打消し、温度差が加法変換に依存しないことが分かる。 このため、いわゆる「温度の差」は絶対温度やセルシウス温度の基準に依らない。この結論は、状態を基準に設定している時点で自明であり、その設定と辻褄が合う。 温度差の比温度和と平均温度 ── 座標依存量と座標不変量の違い
地上高度の和にを代入すると、海抜高度の和とは異なる量になる。 このため、高度の和は使う座標系に依存し、地上高度の和と海抜高度の和は異なる物理量になると言える。
参考
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