逆基底 のバックアップの現在との差分(No.14) |
凌宮表記術:基底の逆基底:軸と軸が直交しない座標系では、双対基底(dual basis)なるものが登場する。 要は、1組の基底では手に負えないから2組の基底で何とかする話。 ざっくり言うと、1組の基底では手に負えないから2組の基底で何とか頑張る話。 習慣的には次のように、双対基底の片方を右下添字で表記し、もう片方を右上添字で表記する。 しかし、右上添字は指数表記にも使われおり、多くの場合は文脈で判断できるが、記号系としては曖昧が残る 習慣的には次のように、双対基底の片方を右下添字で表記し、他方を右上添字で表記する。
さらに問題なのは、両方の基底は添字の位置で関連づけるられているため、基底の書き方が限られることである。 通常のベクトルでは記号の読み替えで済むが、、、が基底になる外積代数では従来の表記とギャップが生じてしまう。 問題になるのは、両方の基底は添字の位置で関連づけるられているため、基底の書き方が限られることである。 例えば、、、が基底になる外積代数では、、、をそのまま使うと不都合が生じる。 これに対し、凌宮数学では以下のように双対基底を表記する。
逆数表記を用いたのは、逆基底が逆数と同じ発想であるため。 指数略記は、式ではなく、のように一塊として扱いたい場合の表記である。 指数略記は、式ではなく、一塊の記号として扱いたい場合の表記である。 この他、とはとの対称性を考慮した表記で、正基底と見なす意思の強調に使える。 双対基底の定義式3次元の場合、双対基底の定義を通常表記で書くと、こうなる: これを凌宮表記で書くと: このうち、など この内、など内積がになる正規条件は、小学校で習う逆数と全く同じである。 同じものを同じように書くことで、小学校から培った数学センスを大学で習うベクトルに活かす手助けになる。 一方で、残るなど 内積がになる直交条件も、スカラの逆数を拡張する追加条件と思えば逆数表記に含まれる。 図1は通常のベクトル除算である。自身と内積がになるベクトルは無数に存在し、逆ベクトルが一義に決まらない。 図2は基底のベクトル除算である。以外の基底と直交する条件が加わって、逆基底となる解が1つに絞られる。 対して、など 内積がになる直交条件も、スカラの逆数を拡張する追加条件と思えば良い。 図1は通常のベクトル除算。自身と内積がになるベクトルは無数に存在するため、逆ベクトルは一義に決まらない。 図2は基底のベクトル除算。以外の基底と直交する条件が加わって、逆基底となる解が1つに絞られる。 この「単独で考えず、複数の基底をセットで考える」のが基底がタダのベクトルとの違いであり、逆基底を定義可能にする鍵である。 そして、正規条件と直交条件の両方が凌宮表記の逆基底に込められる意味である。 この「単独で考えず、複数の基底をセットで考える」のが、基底とベクトルとの違いであり、逆基底を定義可能にする鍵である。 正規条件と直交条件の両方が、逆数の拡張である凌宮表記の逆基底に込められる意味である。 逆基底の逆基底任意の数の逆数の逆数は、以下のように一種の分数計算として元の数に戻る。
同様に、任意の基底の逆基底の逆基底も正基底に戻る。 凌宮表記を用いると、逆基底の逆基底を以下のように逆数の逆数と同じように記述できる。
このように、「逆数」と「逆数を求める演算」を兼ねる逆数表記と同様、 逆数表記を流用した凌宮表記も「逆基底」と「逆基底を求める演算」の記号を両方兼ねている。 対して、通常表記では正基底と逆基底の記号を定めているだけで、正基底から逆基底を求める演算の記号ではない。 このため、通常表記で「逆基底の逆基底」の結果である正基底を書けても「逆基底の逆基底」自体は表現できない。 対して、通常表記は正基底と逆基底の記号を定めているに過ぎず、正基底から逆基底を求める演算の記号に成りえない。 このため、通常表記で「逆基底の逆基底」の結果である正基底を書けても、操作そのものを式で表現する手段はない。 正基底による逆基底一般に、逆基底は正基底の式で記述できる。 例えば3次元の場合は次のようになる *1: これについて、凌宮表記のは、 から を形式的に省いたものと見なせる。 外積代数で定義される外積を用いると、より洗練された形で記述できる: これなら、4次元の座標系では次のようになるのが容易に推測できる(実際そうなる): したがって、凌宮表記のは、次元に応じたのような何かを、形式的に省いた記号と見なせる。 *1
計算は、[物理のかぎしっぽ / ベクトル解析 / 双対基底] が丁寧で分かりやすい。
*2 3次元と同様: 分母で全ての基底が出揃い、ボリュームフォームというスカラー値になる; 分子はベクトル値になる; 分数線は分子の倍という演算を表す。 ベクトルの成分双対基底で考える場合、習慣的には以下のように成分と基底の添字を上下逆の付き方で書く*3。 双対基底で成分分解する場合は、ベクトルと逆基底の内積で成分を割り出せる*4。 例えば、にとの内積を取ると: 双対基底で成分分解する場合は、ベクトルと逆基底の内積で成分を割り出せる*5*6。 例えばをと内積させるとが得られる:
よって、成分と成分も同様に求まり、 これらをに代入すると次のようになる: 成分と成分も同様に求まり、 これらをに代入すると: ベクトルと逆基底の内積を分数表記に纏めると、分かりやすい式になる。 ベクトルと逆基底の内積を分数表記に纏めると、さらに簡潔な式になる: 1次元では、スカラ除算としてになるため、ベクトルになって成分が増える感覚のままで良い。 この割る感覚を多次元に残すことも逆基底に分数表記を用いた理由の一つである。 1次元ではスカラ除算であるになるため、ベクトルになって成分が増える感覚のままで良い。 この感覚を多次元に残すことも逆基底に分数表記を用いた理由の一つである。 *3
実際問題、基底の右上添字よりも、この成分の右上添字の方が指数の添字と衝突しやすい
*4 参考:[物理のかぎしっぽ / ベクトル解析 / ベクトルの成分を表す]が丁寧で分かりやすい *5 駄洒落ではなく、文字通りに割り出している点に注意 *6 参考:[物理のかぎしっぽ / ベクトル解析 / ベクトルの成分を表す]が丁寧で分かりやすい 微分のベクトル扱い外積代数では、、、自体を基底として扱う。 記号的には、任意の微分*7に対し、 正基底はのように積分を、逆基底は *8 のように微分を作る。 記号的には、任意の微分*9に対し、 正基底はのような積分を、逆基底は *10 のような微分を作る。 逆基底の定義式にある正規条件と直交条件は、 やのように、外積代数の基底になる条件そのものである。 したがって、微分をベクトルの正基底と逆基底の内積とも見なせる。 やのように、外積代数の基底になる条件そのものに対応する*11。 同様に、記号的にベクトルの成分分解に適応すると次の式が得られる: 同様に、記号的にベクトルの成分分解に適応すると全微分や1次微分形式の式が得られる:これは微分形式の基本である全微分そのものである。 ここで、にあるは、ベクトルの成分分解として左辺のとの完全一致が要請されることに注意。 さらに、にあるは、微分基底そのものを表すため、やはり完全一致が要請される。 このため、凌宮数学では偏微分でも全微分と同じで記述する。 *7
外積代数では全微分をベクトルと見なす。
*8 一般的には、この微分は1次元ではで書かれるが、 2次元以上では偏微分として基底と異なる記号で書かれる。これに対し、凌宮数学では一貫性のために統一している。 *9 外積代数では全微分をベクトルと見なす。 *10 一般的には、1次元では微分をと書くが、2次元以上では偏微分として微分記号を変えている。これに対し、凌宮数学では一貫性のために統一している。 *11 一般的には、偏微分としてやと書く。 *12 上の理由により、一貫性のために偏微分もで貫いている。 まとめ・つなぎ凌宮数学の逆基底表記は、大学で習う双対基底を、小学校の逆数を連想させる。 逆数と同じ記号を用いたため、「逆基底」自体と「逆基底を求める演算」の2つの意味を持つ。 そのため、基底の絡む演算を柔軟に表現でき、ベクトルの成分分解などで威力を発揮する。 それも通常の幾何ベクトルに留まらず、微分をベクトルとして扱う外積代数も簡単できる。 凌宮数学の逆基底表記は、大学で習う双対基底を、小学校の逆数に関連付ける。 逆数と同じ記号を用いるため、(1)逆基底自身と(2)逆基底を求める演算の2通りの読み方を持つ。 形式的ではあるが、(1)と(2)に関してそれぞれ以下のように解釈できる:
逆基底は凌宮数学の一つ大きな軸である。 ベクトルと微分積分の多くの記事で登場する予定。 この表現力により、割り算、ベクトルの成分分解、全微分など、関係のある概念を統一的に記述する力を持つ。 |