凌宮表記術:基底の逆基底:軸と軸が直交しない座標系では、双対基底(dual basis)なるものが登場する。 習慣的には次のように、双対基底の片方を右下添字で表記し、他方を右上添字で表記する。
問題になるのは、両方の基底は添字の位置で関連づけるられているため、基底の書き方が限られることである。 これに対し、凌宮数学では以下のように双対基底を表記する。
逆数表記を用いたのは、逆基底が逆数と同じ発想であるため。 双対基底の定義式3次元の場合、双対基底の定義を通常表記で書くと、こうなる: これを凌宮表記で書くと: この内、など内積がになる正規条件は、小学校で習う逆数と全く同じである。 この「単独で考えず、複数の基底をセットで考える」のが、基底とベクトルとの違いであり、逆基底を定義可能にする鍵である。 逆基底の逆基底任意の数の逆数の逆数は、以下のように一種の分数計算として元の数に戻る。 同様に、任意の基底の逆基底の逆基底も正基底に戻る。 このように、「逆数」と「逆数を求める演算」を兼ねる逆数表記と同様、 対して、通常表記は正基底と逆基底の記号を定めているに過ぎず、正基底から逆基底を求める演算の記号に成りえない。 正基底による逆基底一般に、逆基底は正基底の式で記述できる。 これについて、凌宮表記のは、からを形式的に省いたものと見なせる。 外積代数で定義される外積を用いると、より洗練された形で記述できる: これなら、4次元の座標系では次のようになるのが容易に推測できる(実際そうなる): したがって、凌宮表記のは、次元に応じたのような何かを、形式的に省いた記号と見なせる。 *1
計算は、[物理のかぎしっぽ / ベクトル解析 / 双対基底] が丁寧で分かりやすい。
*2 3次元と同様: 分母で全ての基底が出揃い、ボリュームフォームというスカラー値になる; 分子はベクトル値になる; 分数線は分子の倍という演算を表す。 ベクトルの成分双対基底で考える場合、習慣的には以下のように成分と基底の添字を上下逆の付き方で書く*3。 双対基底で成分分解する場合は、ベクトルと逆基底の内積で成分を割り出せる*4*5。
成分と成分も同様に求まり、これらをに代入すると: ベクトルと逆基底の内積を分数表記に纏めると、さらに簡潔な式になる: 1次元ではスカラ除算であるになるため、ベクトルになって成分が増える感覚のままで良い。 *3
実際問題、基底の右上添字よりも、この成分の右上添字の方が指数の添字と衝突しやすい
*4 駄洒落ではなく、文字通りに割り出している点に注意 *5 参考:[物理のかぎしっぽ / ベクトル解析 / ベクトルの成分を表す]が丁寧で分かりやすい 微分のベクトル扱い外積代数では、、、自体を基底として扱う。 逆基底の定義式にある正規条件と直交条件は、 同様に、記号的にベクトルの成分分解に適応すると全微分や1次微分形式の式が得られる: ここで、にあるは、ベクトルの成分分解として左辺のとの完全一致が要請されることに注意。 *6
外積代数では全微分をベクトルと見なす。
*7 一般的には、1次元では微分をと書くが、2次元以上では偏微分として微分記号を変えている。これに対し、凌宮数学では一貫性のために統一している。 *8 一般的には、偏微分としてやと書く。 まとめ・つなぎ凌宮数学の逆基底表記は、大学で習う双対基底を、小学校の逆数に関連付ける。
この表現力により、割り算、ベクトルの成分分解、全微分など、関係のある概念を統一的に記述する力を持つ。 |