逆基底 のバックアップ(No.16) |
凌宮表記術:基底の逆基底:軸と軸が直交しない座標系では、双対基底(dual basis)なるものが登場する。 習慣的には次のように、双対基底の片方を右下添字で表記し、もう片方を右上添字で表記する。
さらに問題なのは、両方の基底は添字の位置で関連づけるられているため、基底の書き方が限られることである。 これに対し、凌宮数学では以下のように双対基底を表記する。
逆数表記を用いたのは、逆基底が逆数と同じ発想であるため。 双対基底の定義式3次元の場合、双対基底の定義を通常表記で書くと、こうなる: これを凌宮表記で書くと: このうち、など内積がになる正規条件は、小学校で習う逆数と全く同じである。 一方で、残るなど内積がになる直交条件も、スカラの逆数を拡張する追加条件と思えば逆数表記に含まれる。 この「単独で考えず、複数の基底をセットで考える」のが基底がタダのベクトルとの違いであり、逆基底を定義可能にする鍵である。 逆基底の逆基底任意の数の逆数の逆数は、以下のように一種の分数計算として元の数に戻る。 同様に、任意の基底の逆基底の逆基底も正基底に戻る。 このように、「逆数」と「逆数を求める演算」を兼ねる逆数表記と同様、 対して、通常表記では正基底と逆基底の記号を定めているだけで、正基底から逆基底を求める演算の記号ではない。 ベクトルの成分双対基底で考える場合、習慣的には以下のように成分と基底の添字を上下逆の付き方で書く*1。 双対基底で成分分解する場合は、ベクトルと逆基底の内積で成分を割り出せる*2。 よって、成分と成分も同様に求まり、これらをに代入すると次のようになる: ベクトルと逆基底の内積を分数表記に纏めると、分かりやすい式になる*3。 1次元では、スカラ除算としてになるため、ベクトルになって成分が増える感覚のままで良い。 *1
実際問題、基底の右上添字よりも、この成分の右上添字の方が指数の添字と衝突しやすい
*2 参考:[物理のかぎしっぽ / ベクトル解析 / ベクトルの成分を表す]が丁寧で分かりやすい *3 基底が複素数を含む場合、通常の複素数除算と区別できなくなるため、このように纏められない。 微分のベクトル扱い外積代数では、、、自体を基底として扱う。 逆基底の定義式にある正規条件と直交条件は、 同様に、記号的にベクトルの成分分解に適応すると次の式が得られる: これは微分形式の基本である全微分そのものである。 *4
外積代数では全微分をベクトルと見なす。
*5 一般的には、この微分は1次元ではで書かれるが、 2次元以上では偏微分として基底と異なる記号で書かれる。これに対し、凌宮数学では一貫性のために統一している。 *6 上の理由により、一貫性のために偏微分もで貫いている。 まとめ・つなぎ凌宮数学の逆基底表記は、大学で習う双対基底を、小学校の逆数に連想させる。 逆基底は凌宮数学の一つ大きな軸である。 |