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逆基底 のバックアップ(No.8) |
基底 |
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さらに問題なのは、両方の基底を添字の位置で関連づける規則であるため、計算的ではない。
また、、
、
が基底となる微分のように、添字は無い場合も困る。
この場合は、
、
と
、
、
に書き換えば計算できるが、ベクトルと微分の繋がりが見えにくくなってしまう。
これに対し、凌宮数学では以下のように双対基底の表記を定義する。
双対基底 | |||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
正基底 | 逆基底 | ||||||
通常表記 | ![]() | ![]() | ![]() | ![]() | ![]() | ![]() | |
凌宮表記 | 分数表記 | ![]() | ![]() | ![]() | ![]() | ![]() | ![]() |
指数表記 | ![]() | ![]() | ![]() | ||||
指数略記 | ![]() | ![]() | ![]() |
分数表記を用いたのは、双対基底の定義のうちを満たすため。
理屈は次節で述べるとして、要は直観的に分数で理解すべきに尽きる。
指数表記は、単にスカラの逆数が乗に書けるのに合わせているだけ。
指数略記は、式ではなく、のように一塊で扱いたい場合の記号である。
また、正基底と逆基底が互いに双対であるため、逆基底の逆基底はのように正基底に戻る。
3次元の場合、双対基底の定義を通常表記で書くと、こうなる:
これを凌宮表記で書くと:
このうち、など内積が
の定義式は、表記の定義に利用しているために小学校レベルになる。
残り、内積がの定義式も、一義に定まらないベクトル除算を一つに絞るための必須条件として解釈すれば、表記に含まれることになる。
図1は通常のベクトル除算である。との内積が
のベクトルは幾らでもある。
図2は基底のベクトル除算である。以外の基底と垂直という垂直条件を追加すれば、解が1つに絞れる。
このセットで考えるのが、基底が通常のベクトルとの違いであり、逆基底を定義できる理由である。
3次元の場合、垂直条件:かつ
であるため、
という関係が成り立つ。
このため、任意の比例定数を使って、
と書ける*1。
正規条件:より、
。
はスカラであるため、
。
よって、。
したがって、逆基底表記は、
の
を記号的に省いたものと捕らえて良い。
ただし、具体的に何が省かれるかは次元によって異なる。
1次元では何も省かれずにスカラ除算として成立する。2次元では例えばが省かれる*2*3。
4次元以上では、書くだけでも4次元のベクトル積*4を表せる外積代数*5の知識が必要だが、イメージするだけなら直観的に残りの基底を掛け合わせたと分母分子を省く感覚で良い。
双対基底で考える場合、習慣的には以下のように成分と基底の添字を上下逆の付き方で書く*6。
双対基底で成分分解する場合は、ベクトルと逆基底の内積で成分を割り出せる*7。
例えば、に
を内積を取ると:
よって、成分と
成分も同様に求まり、これらを
に代入すると次のようになる:
ベクトルと逆基底の内積を分数表記に纏めると、分かりやすい式になる。
1次元では、スカラ除算としてになるため、ベクトルになって成分が増える感覚のままで良い。
この割る感覚を多次元に残すことも逆基底に分数表記を用いた理由の一つである。
微分形式では、微分、
、
自体をベクトルとして扱う。
凌宮表記を用いると、その逆基底は、
、
と表記される。
記号的には、任意の微分*8に対し、正基底は
のように積分を、逆基底は
のように微分*9を作る。
最後に、成分分解を書くと、記号的に自ずと全微分の公式が得られる*10。
成分計算の嵐であるベクトル解析でも、分数表記で逆基底を定義すれば、小学校から養った割り算の感覚を持ち込める。
そして、大学でベクトルとして扱われる微分の公式もベクトルの公式と同じ形になる。
ベクトルは小学校から大学まで随所登場するため、凌宮数学では逆基底の表記が至る所に登場する。
その都度、割り算のベクトル版と思えば公式が簡単に見えてくる。