$$ C $$$$ x $$の定数:$$ C \overline{(x)} $$ EditToHeaderToFooter

$$ f $$$$ x $$の関数のとき$$ f(x) $$と書くが、$$ f $$$$ x $$の関数でない場合に何も書けないのが世の不思議。
勿論「関係がない」から「書くまでもない」と思ってはいけない。
そこには「関数でない=定数である」という立派な関係が成り立つ。

そこで、猫式では定数表記として「$$ C $$$$ x $$の定数」を「$$ C \overline{(x)} $$」と表記する。
$$ F $$$$ x $$の関数であることを表す$$ F(x) $$に、否定の意味で使われるオーバーライン(上線)を付けた表記法である。

積分定数 EditToHeaderToFooter

積分定数は名前通りに定数である。
不定積分の計算では必ず現れ、但し書きするのがお約束である。

$$ \int f(x) \,dx = F(x) + C $$ (ただし、$$ C $$ は積分定数)

凌宮数式の定数表記を使うと、とりあえず次のように書ける。

$$ \int f(x) \,dx = F(x) + C \overline{(x)} $$

これに関しては、元々困ってないので、但し書きが記号になって記述量が減る程度のご利益しかない。

では、困る例:多変数関数積分。

$$ \int f(x,y) \,dx = F(x,y) + g(y) $$

理系の大学生はこれを見せられる上、「$$ g(y) $$は任意関数」や「$$ g(y) $$$$ y $$だけの関数」のような但し書きを教わる。
終いには「1変数のときと同じよね」のようなことを言われる。

この謎の関数$$ g(y) $$ が積分定数$$ C $$に対応するのは位置で勘ぐれなくもないが、
これで何がどう同じなのかまで分かれというのは無理かと。
少なくとも私には見た目が全く違うように見える。

1変数関数と多変数関数では、一体、何が同じで、何が異なるのか。
それは表に並ぶと分かりやすい:

表1:$$ \int f(x) \,dx = F(x) + C $$$$ C $$と変数の関係
$$ C $$$$ x $$の定数$$ C $$$$ x $$の関数
 ×
 
表2:$$ \int f(x,y) \,dx = F(x,y) + g(y) $$$$ g $$と変数の関係
$$ \spc{C}{g} $$$$ x $$の定数$$ \spc{C}{g} $$$$ x $$の関数
$$ g $$$$ y $$の定数×
$$ g $$$$ y $$の関数×

要は、$$ x $$で積分するときに重要なのは、$$ x $$の定数であることであって、$$ y $$の関数かどうかではない*1
この事実を素直に定数表記で表現すると次のようになる:

1変数:$$ \int f(x) \,dx \phantom{,y} = F(x) \phantom{,y} + C \overline{(x)} $$

2変数:$$ \int f(x,y) \,dx = F(x,y) + C \overline{(x)} $$

被積分関数$$ f $$が1変数の$$ f(x) $$から2変数の$$ f(x,y) $$に変わっていることを除けば、少なくとも見た目は同じである。

さらに同じ部分を抜き出すと、より洗練された記述が得られる:

$$ \int f\,dx = F + C \overline{(x)} $$ ── $$ x $$で積分すれば、$$ x $$の積分定数が現る。

これこそ何変数でも成り立つ不定積分のあるべき姿。

*1 厳密には「$$ y $$の関数」の特殊例として「$$ y $$の定数」が含まれる。そう言う意味では、「定数である」と「定数でない」で議論すべき。
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