定数係数1階線形常微分方程式は上記の形をしている。 ここで、とはの関数とで、はの定数*1である。 解の公式は積分式で与えられる:
⇒ *2
暗記さえできれば、定数係数で1階の線形な常微分方程式に関しては、必ず解けることになる。 しかし問題は、丸暗記では既習や未習の知識と繋がりを持たず、全体を効率良く学べない。 特に、直後に学ぶ定数係数2階線形常微分方程式は、1階を応用すれば難しい暗記が不要になる。
これらに対し、凌宮数学では、2階ないし階の定数係数常微分方程式に繋がるような、 学習済み知識に基づいた定数係数1階線形常微分方程式のもう少し考え易い解き方を与える。
上記は常微分と不定積分の変換式であるが、1つの微分に纏まれば積分で解けることを意味する。 の場合は、左辺をに纏めらると、積分で解ける。
左辺の特徴は、「」、「」、「加算」である。 高校から学んだ微分公式を順に当たれば、最初に出揃うのは積の微分である:
*4
左辺をとしてと比較すると、が上手く嵌るものの、 残念ながら とを同時に満たすは存在しない*5。
のままでは1つの微分に纏まらないため、これを弄ることになる。 ただし、右辺にが入ると積分できなくなるため、右辺をの関数に保たせる必要がある。 目星が無いため、小学校から学んだ式変形の手法を順に試せば良い*6。
まず、*7と足してみると、項が増えて余計に難しくなるため、放棄。 次に、と掛けてみると、上手く積の微分に嵌る式が現れる。 掛けたの関数を積分因子と呼ばれ、式の形を変えられるため、掛けることは有効な手法である。
左辺がになるため、と比較すると、とが得られる。 をに代入すればと、解ける変数分離形の方程式が得られる*8。 に分離して積分すれば、が得られる。