凌宮読取術:定数係数の1階線形常微分方程式とその解の公式は次のようになっている:
定数係数の1階線形常微分方程式は微分で定義される多くの分野で現れるため、 変数分離法と定数変化法では解けることができても、直観的に解を得るのは難しい。
これに対し、凌宮数学では直観を重視する演算子法を拡張し、
*1
EMANの物理学>物理数学>微分方程式>一階線形微分方程式: http://homepage2.nifty.com/eman/math/differential07.html
*2 EMANの物理学>物理数学>微分方程式>演算子法: http://homepage2.nifty.com/eman/math/differential12.html 定数係数1階線形常微分演算子
|
このため、の逆演算子である
は形式的に次のように分解できる:
問題は、と書いている箇所に
が入るが、これを簡単に省けない。
は
と
の両方に掛かるが、
と書いた場合は
だけの積分に化けてしまう。
このため、積分対象を簡潔にかつ正しく記述するには、も演算子にする必要がある。
と指数変換演算子を定義すると、
は必ず何かに作用し、
だけで
を表現できるようになる。
を使えば、
は
と
の演算子チェーンとして記述できる:
|
さらに、は
の掛算であるため、逆演算子
は
の逆数の掛算となる:
これを利用すれば、は
と
だけの演算子チェーンとして記述できる:
|
意味は、で指数変換してから、積分して、
の逆変換を掛ける、と読める。
の逆演算を取ると、
が得られる:
= | チェーンの逆演算は、各演算子の逆演算を逆順に並び*3 |
= | 逆演算の逆演算は正演算 |
意味は、で指数変換してから、微分し、逆変換を掛ける、と読める。
ポイントはが正演算に戻るだけで、
と
に関しては変わりが無い。
指数変換→微分→逆変換 | |
指数変換→積分→逆変換 |
以上を纏めると、演算子分解法を使えば、定数係数1階数線形常微分方程式を以下のように解ける:
⇔ | 式1:常微分演算子表記 |
⇔ | 式2:定数係数1階線形常微分演算子表記 |
⇔ | 式3:演算子分解 |
⇔ | 式4:逆演算子表記 |
⇔ | 式5:通常表記に復元 |
上記式3を式4に書き換える途中、先頭のだけを逆演算子に書き換えると式3’が得られる:
式2 | |
⇔ | 式3’: |
式2と式3'を見比べれば、と
に関する定数係数1階線形常微方程式は、
指数変換を施したと
に関する定数項無しの微分方程式であると解釈できる。
この考え方に基づくと、解答は次のように変る。
⇔ | 式1:常微分演算子表記 |
⇔ | 式2:定数係数1階線形常微分演算子表記 |
⇔ | 式3’:定数係数無しの微分方程式に読み替え |
⇔ | 式4:逆演算子表記 |
⇔ | 式5:通常表記に復元 |
と置けば1階線形常微分方程式を
に書き換えるのは容易だろう。
その先、と答えを丸暗記するよりは、
段階的にと分解してから個別に逆演算に直す方が覚えやすく、
と両辺の指数変換
を経ての
と覚える方が理屈を付けやすいだろう。
に対し
と
しか登場しなければ、
と
の順番を覚える必要が無くなる。
小さいことではあるが、片方に付くが他方に付かない「-1」などは、混乱の元でしか無い。