定数係数1階線形常微分方程式 のバックアップの現在との差分(No.20) |
凌宮読取術: ⇒ ⇒定数係数1階線形常微分方程式は上記の形をしている。 ここで、とはの関数とで、はの定数*1である。 解の公式は積分式で与えられる: 定数係数の1階線形常微分方程式とその解の公式は次のようになっている:
暗記さえできれば、定数係数で1階の線形な常微分方程式に関しては、必ず解けることになる。 しかし問題は、丸暗記では既習や未習の知識と繋がりを持たず、全体を効率良く学べない。 特に、直後に学ぶ定数係数2階線形常微分方程式は、1階を応用すれば難しい暗記が不要になる。 定数係数の1階線形常微分方程式は微分で定義される多くの分野で現れるため、 「変数分離法&定数変化法」*3という定番解法が大学入学早々叩き込まれる。 これらに対し、凌宮数学では、2階ないし階の定数係数常微分方程式に繋がるような、 学習済み知識に基づいた定数係数1階線形常微分方程式のもう少し考え易い解き方を与える。 変数分離法と定数変化法では解けることができても、直観的に解を得るのは難しい。 その上、高階の方程式を解くのに1階の解が多用されるため、ほぼ丸暗記する羽目になる。 例えばとする演算子法では、逆演算子の形で暗記対象になる*4:
これに対し、凌宮数学では直観を重視する演算子法を拡張し、 指数変換演算子を導入して、のに単純な意味を与え、 高階の常微分方程式に繋げやすい解法を与える。
*1
は凌宮数学の定数表記であり、を表す。
*2 と積分定数を明示する書き方もあるが、煩雑のため凌宮数学では使わない。 *3 EMANの物理学>物理数学>微分方程式>一階線形微分方程式: http://homepage2.nifty.com/eman/math/differential07.html *4 EMANの物理学>物理数学>微分方程式>演算子法: http://homepage2.nifty.com/eman/math/differential12.html 定数係数1階線形常微分演算子の分解表記の逆演算子一般に、微分に対し、不定積分が定義される。 このため、微分演算の逆演算は不定積分〜となる。 考え方積分で解く: ⇔ *5一般に、ある関数の常微分が分かれば、不定積分で解ける。 の場合は、左辺をに纏めらると、積分で解ける。 の分解表記積の微分で纏めるの特徴は、「」、「」、「加算」である。 3つの特徴が出揃う公式を高校から学んだ微分公式から順に当たれば、積の微分に辿り着く: 定数係数の1階線形常微分方程式とその解の公式の積分をで書き換えると: このため、の逆演算子であるは形式的に次のように分解できる: しかし、をとしてと比較すると、 が上手く嵌るものの、 とを同時に満せない。 このため、を弄る必要がある。 問題は、と書いている箇所にが入るが、これを簡単に省けない。 はとの両方に掛かるが、と書いた場合はだけの積分に化けてしまう。 このため、積分対象を簡潔にかつ正しく記述するには、も演算子にする必要がある。 積分因子を掛ける指数変換演算子:上記の試算は、と縛りが厳しすぎるため、となってしまい、を満たす余地を無くした、と捉えられる。 幸い、その縛りを無くすには、をのまま、の両辺に直接掛ければ良い。 と指数変換演算子を定義すると、 は必ず何かに作用し、だけでを表現できるようになる。 を使えば、はとの演算子チェーンとして記述できる:
と比較すると、なるを探せば良いことが分かる。 これは変数分離形という易しい類の微分方程式であるため、簡単に求まる: さらに、はの掛算であるため、逆演算子はの逆数の掛算となる:
意味は、で指数変換してから、積分して、の逆変換を掛ける、と読める。 の分解表記の逆演算を取ると、が得られる:
意味は、で指数変換してから、微分し、逆変換を掛ける、と読める。 ポイントはが正演算に戻るだけで、とに関しては変わりが無い。
今、はを満たせば良いので、以降では簡単そうなを選ぶ。 ここで、掛けたは積分因子と呼ばれ、積分因子を掛ける手法は 積分因子計算例以上を纏めると、演算子分解法を使えば、定数係数1階数線形常微分方程式を以下のように解ける: を掛けてみると、1つの微分に纏まりそうなが現れる。 掛けたは積分因子と呼ばれ、微分の形が変わるため積分因子を掛ける手法は良く利く。 をと比較すると、 とが得られる。 をに代入すれば変数分離形という易しい微分方程式が得られる:
掛ける積分因子は自由に選べるため、以降は簡単そうなを選ぶ。 略解例以上で解く筋道が通った:
式2と式3'を見比べれば、とに関する定数係数1階線形常微方程式は、 指数変換を施したとに関する定数項無しの微分方程式であると解釈できる。この考え方に基づくと、解答は次のように変る。
線形微分演算子・線形積分演算子 【編集中】上記の解き方では、とでは単純な微分・積分の関係にならないため、 一旦とに変換してから、単純な微分を単純な積分に直している。 そういう意味で、解答例の最初と最後だけに着目すると、とに関する一対の複雑な微分と積分にも見える:
各手順の意味まとめ・つなぎと置けば1階線形常微分方程式をに書き換えるのは容易だろう。 その先、と答えを丸暗記するよりは、 段階的にと分解してから個別に逆演算に直す方が覚えやすく、 と両辺の指数変換を経てのと覚える方が理屈を付けやすいだろう。 に対しとしか登場しなければ、との順番を覚える必要が無くなる。 小さいことではあるが、片方に付くが他方に付かない「-1」などは、混乱の元でしか無い。 |