微分積分学の基本公式 のバックアップの現在との差分(No.27) |
【執筆中】凌宮読取術: ⇒凌宮読取術: ⇒微分積分学には、「微分積分学の基本公式」と呼ばれる微分と積分を結ぶ関係式がある。
歴史的には、別々に発展した微分法と区分求積法という2大分野を繋げた超重要公式である。 現在のベクトル解析では、重要な置換積分公式 これは、歴史的に別々に発展した微分法と区分求積法を繋げた超重要定理の一部 *1である。 また、現在のベクトル解析においては、重要な置換積分公式*2*3*4 が全てこの基本公式の拡張版に相当する。 が全てこの公式の拡張と言える。 問題は、図形と密接に繋がっている基本公式にも関わらず、図による直観的な説明が見掛けない。 問題は、図形と密接に繋がっている公式にも関わらず、図による直観的な説明は見掛けない。 微分積分学の基本公式では、微分の結果に対して積分を行うため、 一般的に教えられる「微分は傾き、積分は面積」という考え方では1枚の絵にならない。 一般的に教えられる「微分は傾き、積分は面積」という考え方では両立せず、1枚の絵に纏まらない。 体積分は体積、面積分は面積、線積分は線積(?)要は長さを表すのが名前通りの意味。 微分積分の基本公式に出てくる積分は、スカラの線積分であるため、長さを表すように図示できる。 このため、凌宮数学では、基本公式を以下のように読み替え、ベクトル解析の考え方で図示する。 これに対し、凌宮数学では、線積分に基づき、積分の解釈を面積ではなく線長とし、 微分積分の基本公式を1枚の図に纏めて、微積関係を直観的に読み取る:
*1
Wikipedia/微分積分学の基本定理 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%BE%AE%E5%88%86%E7%A9%8D%E5%88%86%E5%AD%A6%E3%81%AE%E5%9F%BA%E6%9C%AC%E5%AE%9A%E7%90%86
*2 勾配の線積分: ── 微分積分の基本公式のベクトル版。なぜか慣用名は無い。 *3 回転の面積分: ── 面積分と線積分を繋ぐ置換積分公式。ストークスの定理。 *4 発散の体積分: ── 体積分と面積分を繋ぐ置換積分公式。ガウスの定理。 変数の微分積分 ── 関数でない、もう一種類の微分積分独立変数の微分積分第1段階では、問題を簡単にするべく、1つの変数から始める。 今のは、他からの影響を一切受けない、自由な変数である。 まずは、軸と軸上に2点とがある場合を考える。 2点によってになる区間 *5が区切られる。 区間の長さは、2点の差で与えられる。 つぎに、区間を分割して、分割点をから順に、…と名付ける。 小さくなるが、と同様に、区間の長さは端点の差分で与えられる*6。 差分と呼ぶが、が数列っぽく、が小さいというだけで、差とは本質的に何も変わらない。 ポイントは、区間を単純に分割しているため、を繋ぎ合わせば必ずに戻るという関係。
続けて、分割数を無限に増やしてみる。 がに近づくため、はに近づく。 このに近い微小量という意味を込めてをと表記し、の微分 *7と呼ぶ。 一方で、式1は分割数に無関係に成り立つため、無限に分割ても同様の式が成り立つ:
最後に、左辺のは微小量の総和であるため、に書き換えできる *8 今はの下端が、の上端がであるため、 は全て同じ意味である。 区間の端点で表せたため、範囲の指定に使っていたは今や不要となる*9:
*5
は凌宮数学の閉区間表記である。
一般的に閉区間は括弧表記で表記されるが、優先順位の括弧と紛らわしいため凌宮数学では用いない。 *6 通常はをと対応させるように、下端の添字を揃える場合が多い。 今は、やになる煩雑を避けるため、上端に揃えた。そのため、総和の下端は1から始る。 *7 のような一般的な微分とは全く別物である。区別のため「全微分」で呼ばれる場合がある。 *8 「微小量の総和」というのがの本来の意味である。 *9 その代わり、と書くだけで、各点におけるの意味合いを持つ。 変数の微分・積分 ── 関数でない、もう一つの微分積分独立変数の微分・積分従属変数の微分積分問題を簡単にするため、第1段階として、1つの変数だけについて考える。 変数1つしかないから関数を考えなくても良く、関数の独立変数と考えても良い。 とにかく、今のは、他からの影響を一切受けない、自由な変数である。 第2段階として、を想定した、従属変数を考える。 従属変数も変数である以上、独立変数と同じように考えられる。 以下は、従属変数らしく縦軸で描くが、の纏めも兼ねて要点に絞る。 まず、軸と軸上に2点とがある場合について考える。 すると、2点によって区間 *10が区切られる。 区間の長さを差分と定義すると、と書ける。 次に、区間を分割して、分割点をから順に、…と名付けた場合について考える。 するとと同様に、区間に対応する差分をと定義すれば、と書ける。 また、今は区間を単純に分割しているため、を繋ぎ合わせば必ずに戻る。 まずは、軸と2点、があれば、長さの区間が1つ区切られる。 つぎに、を分割すれば、長さの区間が大量に作られ、繋げばに戻る。
続けて、分割数をに近づけた無限な分割について考える。 この場合、はに近づく。以下では、この微小なをと定義する。 すると、式1は分割数に無関係に成り立つため、無限に分割ても同様の式が成り立つ: 続けて、無限に分割すれば、長さの区間が無限に作られ、繋げばやはりに戻る。
ここで、式2の左辺は微小量の総和であるため、に書き換えできる *11。 さらに、のとき、のときであるため、左辺はに書き換えできる。 もはやでは添字が不要となり、全てに代表させれば通常の積分になる。 よって、 最後に、 は、全て同じ意味であり、積分らしく〆て:
纏めると、やなどの全微分は区間の無限分割、対する積分は微小区間の足し合わせ。 微分積分学の基本公式の1つ目の読み方は:
*10
は凌宮数学の閉区間表記である。一般的に閉区間は括弧表記で表記されるが、優先順位の括弧と紛らわしいため凌宮数学では用いない。
*11 「微小量の総和」というのがの本来の意味である。しかし、積分範囲の表記では、添字によるは特殊な書き方であり、範囲の端点によるが一般的であることに注意。 従属変数の微分・積分「独立変数の微分」と「従属変数の微分」の関係第3段階として、との関係を考える。 ここに来て初めて2つの変数が出揃うので、横軸、縦軸の見慣れた2次元グラフが登場する。 手口はこれまで同様、2点の場合、適当に分割した場合、無限に分割した場合を順に進める。 まずは、軸と2点と、直交する軸と2点、について考える。 軸上に2点があれば、長さの区間と長さの区間が区切られる。 2つの差との関係を無理やり式で表すと *12 *13 *14:
つぎに、を分割し、の関係を保ちながらも分割する。 対応する2つの差分とに着目すると、式7の差と全く同じ関係が成り立つ:
続けて、を無限に分割する。 とが小さくなるだけで何も変わらないため、式8の差分と全く同じ関係が成り立つ:
最後に、対応していることが分かれば良いので、添字を省けば:
*12
一般に、であることに注意。
*13 もの関係も具体的に分からない場合、と関数記号で書くは王道だが、強引に恒等式で書く手法もある。 *14 恒等式もなど色々作れて、除算と乗算を選ぶ理由は特に無いが、除算と乗算を選べば微分と積分に繋がる。 関数の微分・積分微分積分の基本公式これまで、「差」→「差分」→「微分」と区間を小さくする手順を繰り返してきた。 それぞれで得た式を並べば、区間を小さくしただけで、他は何も変わらないことは直観で分かる。
また、微分積分学の基本公式の一般的な説明では「近似誤差」と「極限でに収束する概念」が必須である *15 *16 が、 上記の区間を狭める各過程において、差と和、商と積の式は常に厳密に一致していることに注意する必要がある。 これは差分商を上手く設定しているためで、通常の説明で用いられる微分ありきの差分商とは条件が異なっている。 *15
例: 物理のかぎしっぽ/物理数学/和と積分の関係(上の話と結構似ている) http://hooktail.sub.jp/mathInPhys/riemannIntegra/
*16 例: 青空学園数学課/数学対話/基礎分野/定積分の定義/微積分の基本定理 http://aozoragakuen.sakura.ne.jp/taiwa/taiwaNch01/node55.html まとめ
つなぎこれまで、微分積分の基本公式を直観的に理解するため、全微分と全積分に基づく一連の図を描いた。 これらの図では、差→差分→微分と変化させながら、基本公式を不変の関係として直観的に捉えられる。 微分積分の基本公式は、ベクトル解析の分野で大きな影響力を持っている。 この考え方は、線積分、面積分、体積分の間にある置換積分公式の図による直観的理解に繋ぐ。 補足: 2種類の微分積分微分積分の直観的理解のため、変数の微分とその積分について考えた。 は全微分とも呼ばれ、偏微分など*17と呼ばれる微分とは異なる *18 *19 *20 *21。 は被積分関数がの積分として括られるが、凌宮数学では微分に対応させ全積分と呼び分ける。
全微分は特定の変数だけの微小量であり、全積分はその逆演算として、微小量の総和である差を表す。 偏微分は関数と変数の関係であり、偏積分はその逆演算として、やはり関数と変数の関係を表す。 また、偏微分は2つの全微分の商とも見なせて、この解釈では偏積分はとして2つの全微分の積と見なせる。 微分積分の基本公式では、 が導関数と変数の偏積分、が変数の全積分と見なせるため、 微分積分の基本公式は偏積分と全積分を結ぶ変換公式であるとも言える。 ※ 日本語の「微分」も「全微分」も複数の概念を表している *22 。 英語でも多少の揺れはあるが、の形の微分を「differential」と、の形の微分を「derivative」と呼び分けている *23 *24 *25 。 漢字を使う中国語でも結構の揺れはあるが、の形の微分を「微分」と、の形の微分を「導数」と呼び分けている。 現時点で「全微分」と「偏微分」で微分・積分対象の有無の違いを表すのは不適切と認識している *26 *27 。 【追記】「全導関数」の用例*28が見つかった。「全導関数・偏導関数」vs「全微分・偏微分」の使い分けが既に存在するなら、そのまま使うのもアリかと。その場合、積分の方は「全原関数・偏原関数」vs「全積分・偏積分」と呼べば対応関係を表せる。 *17
他に、常微分、微分係数、導関数、微分商とも呼ばれる。
*18 EMANの物理学/解析力学/全微分: 偏微分 vs 全微分 vs 常微分 http://homepage2.nifty.com/eman/analytic/total_dif.html *19 Wikipedia/微分法: 微分係数や導関数と微分 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%BE%AE%E5%88%86%E6%B3%95 *20 Wikipedia/偏微分/全微分: 全微分と微分 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%A8%E5%BE%AE%E5%88%86#.E5.85.A8.E5.BE.AE.E5.88.86 *21 ブラックショールズのモデルを導出への道しるべ/微分積分学/導関数: http://mathematical.jp/black_scholes/derivative.html *22 物理のかぎしっぽ/掲示板:「微分」の混用 http://hooktail.maxwell.jp/bbslog/24837.html *23 芝浦工業大学/.../微分積分学入門: 導関数(derivative,P62) vs 微分(differential, P66) http://next1.msi.sk.shibaura-it.ac.jp/MULTIMEDIA/calcpubpdf.pdf *24 Simon Fraser University/.../経済学 Multivariable Calculus: differential vs derivative: http://www.sfu.ca/~wainwrig/Econ331/notes-partials1.pdf *25 日本語の英語に誤訳が出るほどなので、要注意。 *26 第1仮案は、「変数の」か「関数の」かで接頭語を付ける方式。「変数の微分」は微分対象が「1」であるように、「変数」ではないので誤解を招く。 *27 第2仮案は、中国語に倣い「微分」と「導関数」に基づく方式。対応する積分の命名(「積分」と「積関数」?)との折り合いが付かない。 *28 西南学院大学/経済学部/../経済学/第8章 一般線型モデルの比較静学分析: http://www.seinan-gu.ac.jp/~shito/courses/pluginfile.php/479/mod_resource/content/0/lecnote/ch08-students.pdf 補足3:ベクトルとして見た、全微分・偏微分・不完全微分全微分自体をベクトルとして扱う視点で、微分の用語をベクトルの用語と照らし合わせて分類すると以下の表になる。 ここで、具体例は以下の場合について考える:
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