凌宮読取術:$$ \int_{x_a}^{x_b} \!\! f(x) dx $$$$ = $$$$ F(x_b) $$$$ - $$$$ F(x_a) $$$$ \int_{x_a}^{x_b} \!\! \ddd{F}{x} dx $$$$ = $$$$ \int_{F_a}^{F_b} \!\! dF $$$$ = $$$$ \gDl F $$ EditToHeaderToFooter

微分積分学には、「微分積分学の基本公式」と呼ばれる微分と積分を結ぶ関係式がある。

$$ \int_{x_a}^{x_b} \!\! f(x) dx $$$$ = $$$$ F(x_b) $$$$ - $$$$ F(x_a) $$   ただし、$$ F(x) $$$$ f(x) $$の原始関数$$ \Big( $$$$ \ddd{F(x)}{x} = f(x) $$$$ \Big) $$

歴史的には、別々に発展した微分法と区分求積法という2大分野を繋げた超重要公式である。
現在のベクトル解析では、重要な置換積分公式*1*2*3が全てこの基本公式の拡張版に相当する。

問題は、図形と密接に繋がっている基本公式にも関わらず、図による直観的な説明が見掛けない。
微分積分学の基本公式では、微分の結果に対して積分を行うため、
一般的に教えられる「微分は傾き、積分は面積」という考え方では1枚の絵にならない。

体積分は体積、面積分は面積、線積分は線積(?)要は長さを表すのが名前通りの意味。
微分積分の基本公式に出てくる積分は、スカラの線積分であるため、長さを表すように図示できる。
このため、凌宮数学では、基本公式を以下のように読み替え、ベクトル解析の考え方で図示する。

$$ \int_{x_a}^{x_b} \!\! f(x) dx $$$$ = $$$$ F(x_b) $$$$ - $$$$ F(x_a) $$$$ \int_{x_a}^{x_b} \!\! \ddd{F}{x} dx $$$$ = $$$$ \int_{F_a}^{F_b} \!\! dF $$$$ = $$$$ \gDl F $$

*1 勾配の線積分:$$ \int_{\:a}^{\:b}\! $$$$ \:\nabla F $$$$ \sx $$$$ d\:r $$$$ = $$$$ F(\:b) $$$$ - $$$$ F(\:a) $$ ── 微分積分の基本公式のベクトル版。なぜか慣用名は無い。
*2 回転の面積分:$$ \int_{S}\! $$$$ \:\nabla \!\vx\! \:F $$$$ \sx d\:S $$$$ = $$$$ \int_{R} $$$$ \:F $$$$ \sx $$$$ d\:r $$ ── 面積分と線積分を繋ぐ置換積分公式。ストークスの定理。
*3 発散の体積分:$$ \int_{V}\! $$$$ \:\nabla $$$$ \sx $$$$ \:F $$$$ \,\, dV $$$$ = $$$$ \int_{S} $$$$ \:F $$$$ \sx $$$$ d\:S $$ ── 体積分と面積分を繋ぐ置換積分公式。ガウスの定理。

変数の微分・積分 ── 関数でない、もう一つの微分積分 EditToHeaderToFooter

独立変数の微分・積分 EditToHeaderToFooter

第1段階では、問題を簡単にするべく、1つの変数$$ x $$から始める。
今の$$ x $$は、他からの影響を一切受けない、自由な変数である。

xの差.png

まずは、$$ x $$軸と軸上に2点$$ x_A $$$$ x_B $$がある場合を考える。
2点によって区間$$ x_a::x_b $$*4が区切られる。
区間$$ x_a::x_b $$の長さは、2点の$$ \Delta x $$$$ = $$$$ x_b $$$$ - $$$$ x_a $$で与えられる。

xの差分.png

つぎに、区間$$ x_a::x_b $$$$ N $$分割して、分割点を$$ x_A $$から順に$$ x_0 $$$$ x_1 $$$$ x_N $$と名付ける。
小さくなるが、$$ \gDl x $$と同様に、区間$$ x_i::x_{i+1} $$の長さは端点の差分$$ \gdl x_i $$$$ = $$$$ x_{i+1} $$$$ - $$$$ x_i $$で与えられる。
$$ \gdl x_i $$は差分と呼ばれるが、$$ x_i $$が数列っぽく、$$ \gdl x_i $$小さいってだけで、差$$ \gDl x $$と何も変わらない。

ポイントは、今は区間を単純に分割しているため、$$ \gdl x_i $$を繋ぎ合わせば必ず$$ \gDl x $$に戻ること。

式1: $$ \sum_i^N \delta x_i $$$$ = $$$$ \gDl x $$

xの微分.png

続けて、分割数$$ N $$を無限に増やしてみる。
$$ N $$$$ \infty $$に近づくため、$$ \gdl x_i $$$$ 0 $$に近づく。
この$$ 0 $$に近い微小量という意味を込めて$$ \gdl x_i $$$$ dx_i $$と表記し、$$ x $$の微分*5と呼ぶ。

一方で、式1は分割数$$ N $$に無関係に成り立つため、無限に分割ても同様の式が成り立つ:

式2: $$ \sum_{i=0}^{\infty} $$$$ dx_i $$$$ = $$$$ \gDl x $$

ここで、左辺の$$ \sum_{i=0}^{\infty} $$$$ dx_i $$は微小量$$ dx_i $$の総和であるため、$$ \int_{i=0}^{\infty} \!\! dx_i $$に書き換えできる*6
今は$$ x_0 $$$$ = $$$$ x_a $$$$ x_\infty $$$$ = $$$$ x_b $$であるため、$$ \int_{i=0}^{\infty} \!\! dx_i $$$$ = $$$$ \int_{x_i=x_0}^{x_\infty} \!\!\!\!\!\! dx_i $$$$ = $$$$ \int_{x_a}^{x_b} \!\! dx_i $$は全て同じ意味である。
区間の端点で表せたため、範囲の指定に使っていた$$ {}_i $$は今や不要となる:

式3: $$ \int_{x_a}^{x_b} \!\! dx $$$$ = $$$$ \gDl x $$

*4 $$ a::b $$は凌宮数学の閉区間表記である。一般的に閉区間は括弧表記$$ [a,b] $$で表記されるが、優先順位の括弧と紛らわしいため凌宮数学では用いない。
*5 $$ \ddd{f}{x} $$のような一般的な微分とは全く別物である。区別のため「全微分」で呼ばれる場合がある。
*6 「微小量の総和」というのが$$ \int $$の本来の意味である。

従属変数の微分・積分 EditToHeaderToFooter

第2段階として、$$ F(x) $$を想定した、従属変数$$ F $$を考える。
従属変数も変数である以上、独立変数$$ x $$と同じように考えられる。
以下は、従属変数らしく縦軸で描くが、$$ x $$の纏めも兼ねて要点に絞る。

File not found: "Fの微差分.png" at page "微分積分学の基本公式"[添付]

まずは、$$ F $$軸と2点$$ F_a $$$$ F_b $$があれば、長さ$$ \gDl F $$の区間$$ F_a::F_b $$が1つ区切られる。
つぎに、$$ F_a::F_b $$を分割すれば、長さ$$ \gdl F_i $$の区間が大量に作られ、繋げば$$ \gDl F $$に戻る。

式4:$$ \sum_{i=0}^{N} $$$$ \gdl F_i $$$$ = $$$$ \gDl F $$

続けて、無限に分割すれば、長さ$$ dF_i $$の区間が無限に作られ、繋げばやはり$$ \gDl F $$に戻る。

式5:$$ \sum_{i=0}^{\infty} $$$$ dF_i $$$$ = $$$$ \gDl F $$

最後に、$$ \sum_{i=0}^{\infty} dF_i $$$$ = $$$$ \int_{i=0}^{\infty} \!\! dF_i $$$$ = $$$$ \int_{F_i=F_0}^{F_\infty} \!\!\!\!\!\! dF_i $$$$ = $$$$ \int_{F_i=F_a}^{F_b} \!\!\!\!\!\! dF_i $$$$ = $$$$ \int_{F_a}^{F_b} \!\! dF $$は、全て同じ意味であり、積分らしく〆て:

式6: $$ \int_{F_a}^{F_b} \!\! dF $$$$ = $$$$ \gDl F $$

「独立変数の微分」と「従属変数の微分」の関係 EditToHeaderToFooter

第3段階として、$$ F $$$$ x $$の関係を考える。
ここに来て初めて2つの変数が出揃うので、横軸$$ x $$、縦軸$$ F $$の見慣れた2次元グラフが登場する。
手口はこれまで同様、2点の場合、適当に分割した場合、無限に分割した場合を順に進める。

File not found: "差商.png" at page "微分積分学の基本公式"[添付]File not found: "差分商.png" at page "微分積分学の基本公式"[添付]File not found: "微分商.png" at page "微分積分学の基本公式"[添付]

まずは、$$ x $$軸と2点$$ x_a $$$$ x_b $$、直交する$$ F $$軸と2点$$ F_a $$$$ = $$$$ F(x_a) $$$$ F_b $$$$ = $$$$ F(x_b) $$について考える。
軸上に2点があれば、長さ$$ \gDl x $$の区間$$ x_a::x_b $$と長さ$$ \gDl F $$の区間$$ F_a::F_b $$が区切られる。
2つの差$$ \gDl x $$$$ \gDl F $$の関係を無理やり式で表すと*7*8*9

式7: $$ \gDl F $$$$ = $$$$ \ffd{\gDl F}{\gDl x} $$$$ \gDl x $$

つぎに、$$ x_a::x_b $$を分割し、$$ F_i $$$$ = $$$$ F(x_i) $$の関係を保ちながら$$ F_a::F_b $$も分割する。
対応する2つの差分$$ \gdl x $$$$ \gdl F $$に着目すると、式7の差と全く同じ関係が成り立つ:

式8: $$ \gdl F_i $$$$ = $$$$ \ffd{\gdl F_i}{\gdl x_i} $$$$ \gdl x_i $$

続けて、$$ x_a::x_b $$を無限に分割する。
$$ \gdl x_i $$$$ \gdl F_i $$が小さくなるだけで何も変わらないため、式8の差分と全く同じ関係が成り立つ:

式9: $$ dF_i $$$$ = $$$$ \ddd{F_i}{x_i} $$$$ dx_i $$

さらに、対応していることが分かれば良いので、添字$$ {}_i $$を省けば:

式10: $$ dF $$$$ = $$$$ \ddd{F}{x} $$$$ dx $$

*7 一般に、$$ \gDl F $$$$ \neq $$$$ F(\gDl x) $$であることに注意。
*8 $$ x $$$$ F $$の関係も具体的に分から場合、$$ \gDl F $$$$ = $$$$ \gDl F(\gDl x) $$と関数記号で書くは王道だが、強引に恒等式で書く手法もある。
*9 恒等式も$$ \gDl F $$$$ = $$$$ \gDl F $$$$ - $$$$ \gDl x $$$$ + $$$$ \gDl x $$など色々作れて、除算と乗算を選ぶ理由は特に無いが、除算と乗算を選べば微分と積分に繋がる。

微分・積分の基本公式 EditToHeaderToFooter

これまで、「差$$ \gDl $$」→「差分$$ \gdl $$」→「微分$$ d $$」と区間を小さくする手順を繰り返してきた。
それぞれで得た式を並べば、区間を小さくしただけで、他は何も変わらないことを直観で分かる。

差分微分
File not found: "差商.png" at page "微分積分学の基本公式"[添付]File not found: "差分商.png" at page "微分積分学の基本公式"[添付]File not found: "微分商.png" at page "微分積分学の基本公式"[添付]
 差と和商と積微分・積分の基本公式
$$ \iro[hi]{\sum} $$$$ \gDl F $$$$ = $$$$ \gDl F $$$$ \gDl F $$$$ = $$$$ \ffd{\gDl F}{\gDl x} $$$$ \gDl x $$$$ \iro[hi]{\sum} $$$$ \ffd{\gDl F}{\gDl x} $$$$ \gDl x $$$$ = $$$$ \iro[hi]{\sum} $$$$ \gDl F $$$$ = $$$$ \gDl F $$
差分$$ \sum_{i=0}^{N} $$$$ \gdl F_i $$$$ = $$$$ \gDl F $$$$ \gdl F_i $$$$ = $$$$ \ffd{\gdl F_i}{\gdl x_i} $$$$ \gdl x_i $$$$ \sum_{i=0}^{N} $$$$ \ffd{\gdl F}{\gdl x_i} $$$$ \gdl x $$$$ = $$$$ \sum_{i=0}^{N} $$$$ \gdl F_i $$$$ = $$$$ \gDl F $$
微分$$ \sum_{i=0}^{\infty} $$$$ dF_i $$$$ = $$$$ \gDl F $$$$ dF_i $$$$ = $$$$ \ddd{F_i}{x_i} $$$$ dx_i $$$$ \sum_{i=0}^{\infty} $$$$ \ddd{F_i}{x_i} $$$$ dx_i $$$$ = $$$$ \sum_{i=0}^{\infty} $$$$ dF_i $$$$ = $$$$ \gDl F $$
$$ \int_{F_a}^{F_b} \!\! dF $$$$ = $$$$ \gDl F $$$$ dF $$$$ = $$$$ \ddd{F}{x} $$$$ dx $$$$ \int_{x_a}^{x_b} $$$$ \ddd{F}{x} $$$$ dx $$$$ = $$$$ \int_{F_a}^{F_b} \!\! dF $$$$ = $$$$ \gDl F $$

2つの微分・積分 EditToHeaderToFooter

微分・積分の直観的理解のため、変数の微分$$ dF $$とその積分$$ \int_{F_a}^{F_b} dF $$について考えた。
$$ dF $$は全微分とも呼ばれ、偏微分とも呼ばれる通常の微分とは異なる。
$$ \int_{F_a}^{F_b} dF $$は通常の積分とは区別されないが、凌宮数学では用語の統一のため、全積分と呼び分ける。

凌宮系統名全微分偏微分全積分偏積分
慣用名微分微分積分
 常微分*10定積分
全微分偏微分線積分
表記例$$ dF $$$$ dx $$$$ \ddd{F}{x} $$$$ \int_{F_a}^{F_b} dF $$$$ \int_{x_a}^{x_b} dx $$$$ \int_{x_a}^{x_b} f\,dx $$
特徴変数だけの微分関数だけの微分変数に作用した積分関数に作用した積分

まとめ・つなぎ EditToHeaderToFooter

つなぎ EditToHeaderToFooter

*10 他に、微分係数、導関数とも呼ばれる
fileFx微分.png 644件 [詳細] fileFx差分.png 695件 [詳細] fileFx差.png 663件 [詳細] fileF微分.png 698件 [詳細] fileF差分.png 620件 [詳細] fileF差.png 597件 [詳細] filex微分.png 646件 [詳細] filex差分.png 669件 [詳細] filex差.png 640件 [詳細] fileF対xの微分商.png 2656件 [詳細] fileF対xの差分商.png 2679件 [詳細] fileF対xの差商.png 365件 [詳細] fileFの微分.png 376件 [詳細] fileFの差.png 337件 [詳細] fileFの差分.png 336件 [詳細] filexの微分.png 2627件 [詳細] filexの差分.png 2550件 [詳細] filexの差.png 2599件 [詳細]
    数学 一覧 検索 最新 バックアップ リンク元   ヘルプ   最終更新のRSS