微分積分学の基本公式 のバックアップ(No.55) |
凌宮読取術: ⇒微分積分学には、「微分積分学の基本公式」と呼ばれる微分と積分を結ぶ関係式がある。
これは、歴史的に別々に発展した微分法と区分求積法を繋げた超重要定理の一部*1である。 問題は、図形と密接に繋がっている公式にも関わらず、図による直観的な説明は見掛けない。 これに対し、凌宮数学では、線積分に基づき、積分の解釈を面積ではなく線長とし、 *1
Wikipedia/微分積分学の基本定理 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%BE%AE%E5%88%86%E7%A9%8D%E5%88%86%E5%AD%A6%E3%81%AE%E5%9F%BA%E6%9C%AC%E5%AE%9A%E7%90%86
*2 勾配の線積分: ── 微分積分の基本公式のベクトル版。なぜか慣用名は無い。 *3 回転の面積分: ── 面積分と線積分を繋ぐ置換積分公式。ストークスの定理。 *4 発散の体積分: ── 体積分と面積分を繋ぐ置換積分公式。ガウスの定理。 変数の微分積分 ── 関数でない、もう一種類の微分積分独立変数の微分積分第1段階では、問題を簡単にするべく、1つの変数から始める。 まずは、軸と軸上に2点とがある場合を考える。 つぎに、区間を分割して、分割点をから順に、…と名付ける。 ポイントは、区間を単純に分割しているため、を繋ぎ合わせば必ずに戻るという関係。
続けて、分割数を無限に増やしてみる。 一方で、式1は分割数に無関係に成り立つため、無限に分割ても同様の式が成り立つ:
最後に、左辺のは微小量の総和であるため、に書き換えできる*7
*5
は凌宮数学の閉区間表記である。一般的に閉区間は括弧表記で表記されるが、優先順位の括弧と紛らわしいため凌宮数学では用いない。
*6 のような一般的な微分とは全く別物である。区別のため「全微分」で呼ばれる場合がある。 *7 「微小量の総和」というのがの本来の意味である。 従属変数の微分積分第2段階として、を想定した、従属変数を考える。 まずは、軸と2点、があれば、長さの区間が1つ区切られる。
続けて、無限に分割すれば、長さの区間が無限に作られ、繋げばやはりに戻る。
最後に、は、全て同じ意味であり、積分らしく〆て:
纏めると、やなどの全微分は区間の無限分割、対する積分は微小区間の足し合わせ。
「独立変数の微分」と「従属変数の微分」の関係第3段階として、との関係を考える。 まずは、軸と2点と、直交する軸と2点、について考える。
つぎに、を分割し、の関係を保ちながらも分割する。
続けて、を無限に分割する。
最後に、対応していることが分かれば良いので、添字を省けば:
纏めると、やなどの全微分の乗算と除算は差分量に同じ。微分積分学の基本公式の2つ目の読み方は:
*8
一般に、であることに注意。
*9 もの関係も具体的に分からない場合、と関数記号で書くは王道だが、強引に恒等式で書く手法もある。 *10 恒等式もなど色々作れて、除算と乗算を選ぶ理由は特に無いが、除算と乗算を選べば微分と積分に繋がる。 微分積分の基本公式これまで、「差」→「差分」→「微分」と区間を小さくする手順を繰り返してきた。
また、微分積分学の基本公式の一般的な説明では「近似誤差」と「極限でに収束する概念」が必須である*11*12が、 *11
例: 物理のかぎしっぽ/物理数学/和と積分の関係(上の話と結構似ている) http://hooktail.sub.jp/mathInPhys/riemannIntegra/
*12 例: 青空学園数学課/数学対話/基礎分野/定積分の定義/微積分の基本定理 http://aozoragakuen.sakura.ne.jp/taiwa/taiwaNch01/node55.html まとめ・つなぎこれまで、微分積分の基本公式を直観的に理解するため、全微分と全積分に基づく一連の図を描いた。 微分積分の基本公式は、ベクトル解析の分野で大きな影響力を持っている。 補足: 2種類の微分積分微分積分の直観的理解のため、変数の微分とその積分について考えた。
全微分は特定の変数だけの微小量であり、全積分はその逆演算として、微小量の総和である差を表す。 微分積分の基本公式では、 ※ 日本語の「微分」も「全微分」も複数の概念を表している*18。 【追記】「全導関数」の用例*24が見つかった。「全導関数・偏導関数」vs「全微分・偏微分」の使い分けが既に存在するなら、そのまま使うのもアリかと。その場合、積分の方は「全原関数・偏原関数」vs「全積分・偏積分」と呼べば対応関係を表せる。 *13
他に、常微分、微分係数、導関数、微分商とも呼ばれる。
*14 EMANの物理学/解析力学/全微分: 偏微分 vs 全微分 vs 常微分 http://homepage2.nifty.com/eman/analytic/total_dif.html *15 Wikipedia/微分法: 微分係数や導関数と微分 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%BE%AE%E5%88%86%E6%B3%95 *16 Wikipedia/偏微分/全微分: 全微分と微分 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%A8%E5%BE%AE%E5%88%86#.E5.85.A8.E5.BE.AE.E5.88.86 *17 ブラックショールズのモデルを導出への道しるべ/微分積分学/導関数: http://mathematical.jp/black_scholes/derivative.html *18 物理のかぎしっぽ/掲示板:「微分」の混用 http://hooktail.maxwell.jp/bbslog/24837.html *19 芝浦工業大学/.../微分積分学入門: 導関数(derivative,P62) vs 微分(differential, P66) http://next1.msi.sk.shibaura-it.ac.jp/MULTIMEDIA/calcpubpdf.pdf *20 Simon Fraser University/.../経済学 Multivariable Calculus: differential vs derivative: http://www.sfu.ca/~wainwrig/Econ331/notes-partials1.pdf *21 日本語の英語に誤訳が出るほどなので、要注意。 *22 第1仮案は、「変数の」か「関数の」かで接頭語を付ける方式。「変数の微分」は微分対象が「1」であるように、「変数」ではないので誤解を招く。 *23 第2仮案は、中国語に倣い「微分」と「導関数」に基づく方式。対応する積分の命名(「積分」と「積関数」?)との折り合いが付かない。 *24 西南学院大学/経済学部/../経済学/第8章 一般線型モデルの比較静学分析: http://www.seinan-gu.ac.jp/~shito/courses/pluginfile.php/479/mod_resource/content/0/lecnote/ch08-students.pdf 補足3:ベクトルとして見た、全微分・偏微分・不完全微分全微分自体をベクトルとして扱う視点で、微分の用語をベクトルの用語と照らし合わせて分類すると以下の表になる。
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