論理包含の表記
のバックアップの現在との差分(No.1)
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論理包含の表記
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概要
論理包含、含意、内含は、歴史的に「⊃」の記号で表記される経緯がある。
他方、集合論でも集合の包含を表すのに「⊃」が使われる。
ところが、命題p⊃qに対し、pとqに関連深い集合PとQを考えるとP⊂Qと真逆な向きになり、非常に紛らわしいことが起こる。
論理包含は、歴史的には記号
で表記されている。
他方、集合論でも集合の包含の表記にも記号
が使われる。
ところが、命題
に対し、
と
に関連深い集合
と
を考えると
と真逆な向きになり、
見た目的に紛らわしいことが起こる。
以下では、その仕組みを簡単に纏める。
なお、混同を減らすため、紛らわしさを対比させる場合を除き、
原則として、論理包含は「⇒」で、集合包含は「⊃」で表記する。
なお、混同を避けるため、集合包含は記号
で表記し、
論理包含は今日において良く用いられる
で表記する。
命題と集合の対応関係
一般に、命題p(x)があると、その命題を条件とする集合P={x|p(x)}が自然に作れる。
例えば、p(x)が「xが偶数」であれば、対応するP={x|xが偶数}が必ず作れる。
この1対1の対応付けは集合の内包表記そのものに利用され、集合の要件としても要請される。
命題と集合の対応付け
一般に、集合は命題を使って命題が真となる要素で定義できる。
命題
による定義は内包表記で集合
と書ける。
これにより、命題と集合を一対一で対応づけできる。
論理包含の集合表記
命題r(x)=[p(x)⇒q(x)]の集合表記を考える。
p(x) は P={x|p(x)}
q(x) は Q={x|q(x)}
r(x) は R={x|r(x)}={x|p(x)⇒q(x)}と書ける。
例えば、命題
が「
が偶数」であれば、対応する集合
が偶数
を必ず唯一に作れる。
簡潔のため、命題と集合の対応関係を記号
で表記する。
逆に、集合
があると、対応する命題
の真偽は、
が集合
に属すか否かで決まる。
特に
のとき、
真偽値に対応する集合
恒偽
、すなわち、
が
に関わらず恒偽の場合、
対応する集合
は要素を1つも持たないので、空集合
となる。
よって、恒偽は空集合に対応する。
恒真
、すなわち、
が
に関わらず恒真の場合、
対応する集合
は全ての
を要素として持つので、
は全体集合
となる。
よって、恒真は全体集合に対応する。
で考えている場合、
が全体集合になるので、
が成り立つ。
対応式で書くと
例えば、
で考えている場合、
が成り立つ。
に代入した
も命題と集合の対応関係から自明的に成り立つ。
基本論理演算に対応する集合演算
論理否定
命題
に対応する集合は
と書ける。
一方で、内包表記で記述される条件を満たさない集合は補集合であるため、
と書ける。
よって、論理否定は補集合に対応する。
例えば、真偽値に関して、次の計算が容易に確認できる。
論理和
命題
に対応する集合は
と書ける。
一方で、集合としてみた場合、任意の
は
と
の片方にでも属せば集合
の要素となるため、
と書ける。
よって、論理和は和集合に対応する。
論理積
命題
に対応する集合は
と書ける。
一方で、集合としてみた場合、任意の
は
と
の両方に属して初めて集合
の要素となるため、
と書ける。
よって、論理積は積集合に対応する。
論理包含と部分集合
命題
の集合表記を考える。
論理包含は論理否定と論理和を使って、
と書ける
そのため、
に対応する集合
は以下に計算できる。
これに端的に表す専用の集合演算記号は、一般的には用意されてない。
そこで、
が恒真のとき、
と
の関係について考える。
より、
となる。
両辺の補集合を取ると、
が言える。
これは、
の外側に
の要素が存在しない意味であるため、
が
に集合的に包含される関係になる。
もし、論理包含の記号を
の代わりに
を用いた場合、
論理式と集合式で
と
の両方が出て、紛らわしい見た目になってしまう。
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