• 追加された行はこの色です。
  • 削除された行はこの色です。
%indent
* 概要 [#d267ecf3]
;,論理包含、含意、内含は、歴史的には記号$$ \supset $$で表記される経緯がある。
;,他方、集合論でも集合の包含の表記にも記号$$ \supset $$が使われる。
;,ところが、命題$$ p $ \supset $ q $$に対し、$$ p $$と$$ q $$に関連深い集合$$ P $$と$$ Q $$を考えると$$ P $ \subset $ Q $$と真逆な向きになり、紛らわしいことが起こる。

;,以下では、その仕組みを簡単に纏める。
;,なお、混同を減らすため、紛らわしさを対比させる場合を除き、
;,原則として、論理包含は記号$$ \Rightarrow $$で、集合包含は記号$$ \supset $$で表記する。

* 命題と集合の対応関係 [#q99ec54e]
* 命題と集合の対応付け [#q99ec54e]
;,一般に、命題$$ p(x) $$があると、その命題を条件とする集合$$ P $ = $ \{ $ x $ | $ p(x) $ \} $$と1対1で対応づけできる。
;,例えば、$$ p(x) $$が「$$ x $$が偶数」であれば、対応する$$ P $ = $ \{ $ x $ | $ x $$が偶数$$ \} $$が必ず作れる。
;,例えば、$$ p(x) $$が「$$ x $$が偶数」であれば、対応する命題$$ P $ = $ \{ $ x $ | $ x $$が偶数$$ \} $$が必ず作れる。
;,この1対1の対応付けは集合の内包表記そのものに利用され、集合の要件としても要請される。

;,簡潔のため、以下ではこの対応関係を記号$$ \sim $$で表記する。
#ceq(e)
    $$ p(x) $ \sim $ \{ $ x $ | $ p(x) $ \} $$
#ceq(d)

;,逆に、集合$$ P $$があると、要素の包含を表す命題$$ p(x) $ = $ x $ \in $ P $$が1対1で対応づけできる。
;,例えば、$$ P $$が偶数の集合ならば、対応する$$ p(x) $ = $ [ $ x $ \in $ P $ ] $$、すなわち「$$ x $$は偶数である」が必ず作れる。
;,一般に、$$ P $ = $ \{ $ x $ | $ x $ \in $ P $ \} $$は常に成り立つ。
#ceq(e)
    $$ x $ \in $ P $ \sim $ P $$
#ceq(d)

* 真偽値に対応する集合 [#ce745b4e]
** 恒偽 [#b60f0514]
;,$$ p(x) $ = $ F $$、すなわち、$$ p(x) $$が$$ x $$に関わらず恒偽の場合、
;,対応する集合$$ P $ = $ \{ $ x $ | $ F $ \} $$は要素を1つも持たないので、空集合$$ \varnothing $$となる。
;,よって、恒偽は空集合に対応する。
#ceq(e)
    $$ F $ \sim $ \{ $ x $ | $ F $ \} $ = $ \varnothing $$
#ceq(d)

** 恒真 [#ac7c3e3b]
;,$$ p(x) $ = $ T $$、すなわち、$$ p(x) $$が$$ x $$に関わらず恒真の場合、
;,対応する集合$$ P $ = $ \{ $ x $ | $ T $ \} $$は全ての$$ x $$を要素として持つので、$$ P $$は全体集合$$ \overline\varnothing $$となる。
;,よって、恒真は全体集合に対応する。
#ceq(e)
    $$ T $ \sim $ \{ $ x $ | $ T $ \} $ = $ \overline\varnothing $$
#ceq(d)

;,$$ x $ \in $ X $$で考えている場合、$$ X $$が全体集合になるので、$$ P $ $ = $ \{ $ x $ | $ T $ \} $ = $ X $$が成り立つ。
;,対応式で書くと
#ceq(e)
    $$ T $ \sim $ X $$
#ceq(d)
;,例えば、$$ x $ \in $ X $$で考えているため、$$ x $ \in $ X $ = $ T $$である。
;,これに関して命題と集合の対応付けとして$$ x $ \in $ X $ \sim $ X $$が自明的に成り立つのが容易に確認できる。

* 基本論理演算に対応する集合演算 [#qf7562c6]
** 論理否定 [#d2c52411]
;,命題$$ r(x) $ = $ \lnot $ p(x) $$に対応する集合は$$ R(x) $ = $ \{ $ x $ | $ r(x) $ \} $ = $ \{ $ x $ | $ \lnot $ p(x) $ \} $$と書ける。
;,一方で、内包表記で記述される条件を満たさない集合は補集合であるため、$$ R(x) $ = $ \overline{\{\, x \,|\, p(x) \,\}} $$と書ける。
;,よって、論理否定は補集合に対応し、$$ \{ $ x $ | $ \lnot $ p(x) $ \} $ = $ \overline{\{\, x \,|\, p(x) \,\}} $$が成り立つ。

;,例えば、真偽値に関して、次の計算が容易に確認できる。
#ceq(e)
    $$ \{ $ x $ | $ T $ \} $ = $ \{ $ x $ | $ \lnot $ F $ \} $ = $ \overline{\{\, x \,|\, F \,\}} $ = $ \overline\varnothing $$
#ceq(d)


* 論理包含の集合表記 [#d4c875e5]

;,命題$$ r(x) $ = $ [ $ p(x) $ \Rightarrow $ q(x) $ ] $$の集合表記を考える。
;,対応関係は、
- $$ p(x) $ : $ P $ = $ \{ $ x $ | $ p(x) $ \} $$、
- $$ q(x) $ : $ Q $ = $ \{ $ x $ | $ q(x) $ \} $$、
- $$ r(x) $ : $ R $ = $ \{ $ x $ | $ r(x) $ \} $ = $ \{ $ x $ | $ p(x) $ \Rightarrow $ q(x) $ \} $$となる。

    数学 一覧 検索 最新 バックアップ リンク元   ヘルプ   最終更新のRSS