ベクトル微分演算子 のバックアップ(No.9) |
をベクトルで微分ベクトル微分演算には勾配、回転、発散があり、ベクトル表記は主に次の二系統ある。
ナブラ表記では、ベクトル演算をベクトル演算子で表記しているため、ベクトル微分の計算にベクトル演算の公式が利用できるなど、関数表記より便利な場合が多い。しかし、ナブラを微分対象の左隣に書かねばならない制約のため一部のベクトル計算で支障が出るため、まだ改善する余地がある。また、のような分数形ではないため、ベクトル微分における連鎖則を約分の感覚で扱えない。 これに対し、猫式ではでベクトルを、で微分対象を示し、ベクトル微分演算子を次のように定義し、ベクトル演算と微分演算の表記上での分離を実現する。
まず見た目はでは、上から下に向かって、表記が段々分離される形となっている。分数形は連鎖側のための書式である。関数形と演算子形は関数表記と完全互換な書式である*1。分離形は微分演算とベクトル演算を別々計算するための書式である。これらの間は分数の感覚で自由に行き来できる。 分数形:勾配を含む連鎖則がスカラの場合、がに対する連鎖則。分数形で記述する場合、あくまでも形式的だが、約分の感覚で直観的に式変形できる。 がベクトルの場合、がに対する連鎖則。ナブラ表記でもと、表現力において関数表記と大差ない。 猫式表記の分数形で書けば、になる。スカラの積が内積になることを除けば、分数の姿がそのまま生き残り、式を直感的に操作できる。もっとも、スカラが1次元のベクトルに含まれ、その場合内積がスカラの積になるため、この式はスカラの式を含むことになる。 分離形:外積を含む分配則ベクトルの外積はのように、交換則の代わりに、交代則が成り立つ。一方、ナブラは右側しか微分しないため、と書けない。高が符号一つだが、回転に対応する外積の交代則を記述できないがために、回転を含む微分演算の妨げになる。 猫式表記分離形を使えば、交代則はと書ける。は最初に出会うが指し示す相手を微分するため、順番は関係ない。これより、ベクトル外積の公式を適応するときに微分演算子を考慮する必要がなくなる。 外積の勾配外積の勾配の公式: ナブラ表記を使えば、積の微分、スカラ三重積の交換則、外積の交代則から形式的に導き出すことができる。
計算途中で微分対象が微分演算子から一旦離れるため、一工夫が必要になる。良く見かける手法として、ナブラと作用対象を線または矢印で結ぶ記法がある。
一方、猫式表記の分離形では次のように記述可能。遊離したは自由に動けるため、微分対象をの左に置いても問題ない。
回転を含む他の公式はこちら:ベクトル微分演算子/回転公式 |