偏微分 のバックアップの現在との差分(No.2) |
一般に、1変数関数の微分と言えばである。 対して、多変数関数になると、偏微分と、そして全微分が登場する *1。多変数関数の各種微分に対し、1変数の微分を特に常微分と呼ぶ。 問題は、このとの使い分けが微分を難しくする原因の一つである。 導入教科書的に纏めると、次のようになる:
定義からも、偏微分が常微分の拡張で、全微分は別の概念ということが分かる。 また、1変数を2変数の特殊例と見なした場合、1変数のときにが成り立つ。 このため、常微分をで書くと恐らく注意される程度で済むだろう。 しかし、偏微分に、全微分にを使うのは問答無用のバツになる。 1変数関数に対し、による微分をと表記し、次のように定義される。 自分の経験上、偏微分を始めたばかりでは「多変数はを使え」と覚えば済むから特に問題ない。 大抵は全微分を学び、次のの連鎖則で混乱が始まる。 2変数関数に対し、同様に微分したものは偏微分と言ってと表記され、次のように定義される。
この式がエグい所は2つ。 一つは、と、と、とが出揃うところである。 もう一つは、、、は全微分ではなく常微分にしか見えないところである *2。このため、「多変数はを使え」が一気に通用しなくなって、混乱が起きる。 を使った偏微分と区別して、を使った微分を特に常微分と言う。これだけの定義だが、偏微分と常微分の違いを正しく説明できる人は意外に少ない。勿論、「偏微分ではを固定している」だけでは矛盾が生じる。実際、学ぶ方にとってはとの使い分けが非常に紛らわしく、微分が難しく感じる要因の一つである。結論を言うと、偏微分と常微分は同じ微分演算であるため、微分としては共通の記号を通して使うべき。しかし、偏微分と言うだけで、積分は勿論、既にベクトルまで含まれるのが現状である。このため、表記を統合するためには、記号の意味から変える必要がある。以下では、まず同一関数に対し、偏微分と常微分が同時に存在し、異なる値を持つ場合について考える。次ぎに、で欠けてる情報を補った偏微分のフル表記とその意味について考える。最後に、偏微分の意味毎の分離表記について考え、偏微分と常微分を統合する。この話しの目標は、関数があって、どんな関数だろうとで微分する限りと表記することである。目次
|
||||||||||||||||||