公式の導出を追いかけ、「なぜそうなるのか」を考えるのが猫式組立術の原点である。運よく隠された規則があって、それを見出せば、公式を簡単に組み立てることができる。
三角公式の場合は「」や「」になるのには理由が必要だが、答えはオイラーの公式を使って次のようにとを複素指数で表すときに現われるに隠されている。
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これを使えば加法定理は次のように導ける。
オイラーの公式
指数法則
展開
実部と虚部の分離
実部と虚部を別々に比較してとがセットになっている版の加法定理を得る:
さらに虚数単位を計算して、通常の加法定理を得る:
表面的ではあるが、版の方では全てに統一しているのに対し、通常版ではの中にが1つだけ混ざっている。ポイントははの計算結果である。とが必ず一緒に動くため、の前には必ずがあって、これが「」に化ける。このため、次の法則が成立する:
正弦陰性則: が2つ掛け合わせる毎に、項の前に「」が1つ増える
次に、通常の三角公式は全て実数である。複素数の式が実数の式になるには、「全ての項が純虚数」または「全ての項が実数」を満たす必要がある。純虚数の項ではの数は奇数、実数の項ではの数は偶数になる。これもとが必ず一緒に動くため、に対して言えることは、の数に対しても言えて、次の法則が成立する:
正弦奇偶則: 正弦数は、等式の各項を通して「全て奇数」または「全て偶数」
名前の問題。従来の余弦や正弦と区別のため、猫式ではを実数余弦、略して実弦、を虚数正弦、略して虚弦と呼ぶ。
本質の問題。図1に示すように、余弦と正弦は、二次元平面上で考えようが、複素数平面上で考えようが、実数値の座標値に過ぎない。一方、図2に示すように、猫式の実弦と虚弦は座標値ではなく、複素数値そのものである。複素数のことは全て複素数で考えるのが猫式の流派である。を使った時点でそれが虚数である。
三角関数のように複素数が姿を現わさないところでも、をに書き換えてるだけで見えない世界が見えてくるようになる。